2026年10月3日(土)

Wedge OPINION

2026年10月3日

 先の米中首脳会談で、トランプ大統領が習近平主席に「第2次世界大戦時の同盟国」と述べたことが、日本国内に波紋をもたらした。

(Martin Holverda/titoOnz/gettyimages・ロイター/AP/アフロ)

 頭越しに米中関係が緊密化することへの警戒感だが、米大統領による同様の発言、実はこれが初めてではない。1998年にクリントン大統領(当時)が訪中した際、やはり同趣旨のスピーチを行っている。

 日本国内への反響は少なく、その後も米中関係が日中関係を凌駕することはなかった。今回は打って変わってメディアを中心に大きく報じられているが、日本国内が動揺すれば、日米の離反を図るという中国の術中にはまるだけだろう。

クリントン大統領「両国民が抱いていた温かさ感じた」

 クリントン大統領の発言は、98年初夏に中国を訪問した際になされた。北京での歓迎夕食会で大統領は、米中の長い交流の歴史、故ニクソン元大統領の訪中などに触れ、「冷戦以前に両国民が互いに抱いていた温かさを感じさせ、第2次世界大戦中の同盟関係を思い出させてくれた」と謝意を述べた。

 翌々日には北京大学で1000人の学生を前に講演、「第2次世界大戦中のパートナーシップ」との表現で、抗日戦争における米中協力の成果、意義を称えた。

 江沢民国家主席(当時)は晩餐会でのあいさつで、社会、思想、文化の相違に言及しながら、「重要なことは、違いに勝る共通の利益を見出すことだ」と述べたが、〝米中同盟〟には一切触れずじまい。当時の中国の歴史認識が現在より穏健であったことをうかがわせる。

日本は〝パッシング〟に失望と衝撃

 当時、産経新聞のワシントン特派員だった筆者は、同行記者として大統領の全日程を取材したが、日本の隣国を訪問中に、わが国と戦った「同盟」に言及したことに驚き、解説を加えた長文の原稿を送稿した。しかし、東京の反応はいまひとつ。紙面の都合もあり、30行足らずの小さな記事で掲載されたにとどまった。今回のトランプ発言をめぐる報道とは大きな違いだった。


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