2026年8月31日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年8月31日

 ワシントン・ポスト紙の寄稿コラムニストのカラ・ムルザが8月12日付け同紙に「プーチンは彼が自身の国民を如何に恐れているかを世界に示した。投票から唯一の反戦の党を排除したことはクレムリンのプロパガンダの空虚さを示す」との論説を書いている。その論旨、次の通り。

最高裁に出廷したヤブロコ党のニコライ・リバコフ党首(ロイター/アフロ)

 2022年2月にウクライナ全面侵攻を始めて以来、ロシアの独裁者プーチンは彼の「特別軍事作戦」はロシア市民の圧倒的な支持を得ているとしてきた。ロシア民族全体が彼の戦争を支持しているとさえ言ってきた。

 この主張は怪しかったが、不思議にも西側のコメンテイターの一部はプーチン批判者を含め、ロシア人のほとんどは戦争を支持しているとのクレムリンの物語を額面通りに受け入れてきた。

 しかし、行動は言葉より雄弁である。独裁制では、最もびっくりするような自己暴露が政権自体によってよく行われる。8月10日、一日の聴聞の後、ロシア最高裁は、ウクライナ戦争に反対で即時停戦を要求しているヤブロコ(Yabloko)党の選挙登録を無効にし、9月の議会選挙から排除した。

 7月末にロシア当局が議会選挙へのYablokoを登録した時クレムリンは、反戦党を投票に参加させ、2%得票の公的結果を発表し、世界にロシア国民は圧倒的にプーチンのウクライナ戦争を支持している、と示せばよいと考えたのだろう。

 しかし物事は違った方向に行き始めた。政権側が把握し損なったのは、Yablokoがもはや1990年代のロシアの民主主義の短い実験の残り物、小さなリベラルな党ではないことである。それはいまロシア市民が戦争への反対を表明する唯一の道になった。

 人々はそれを使った。Yablokoはソーシャル・メディアで爆発し、親クレムリンの党を凌駕した。公表されていない調査から漏れた結果によると、Yablokoへの国民の支持は2桁台に近い。


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