東京や大阪などの都市圏から離れたところに位置しながら、会場の収容数を超えるほどの申し込みが相次いでいる香川。そこでは、どのような思いを抱えた人たちが参加し、どのような作品が届けられているのだろうか?
今回、文学フリマ香川事務局・代表の西原舞さんに話を伺ったところ、香川が持っている「本の街」としての側面が少しずつ見えてきた。
香川県高松市にある高松中央商店街は、総延長約2.7kmの「日本一長いアーケード街」として知られている。約1000軒の店舗が立ち並び、目的がなくても寄り道をしながら自由に楽しむことができる。
その一区画にある小さなエリアには、独立系の書店や古本屋がいくつも点在しており、「本の街」としての香川の魅力を後押ししている。わざわざ県外から訪れるお客さんも多く、個性的な書店が増えたことで、本に関するイベントやワークショップなど、人々の交流も徐々に広がっていった。
こうした文化的な取り組み、人的なつながりの延長線上に、文学フリマ香川は開催された。
なぜ香川・高松で文学フリマなのか?
2026年8月2日、文学フリマ香川は三度目の開催を迎えた。会場となった高松シンボルタワーには開場前から熱気が漂っており、うどんに関する本や、お遍路をめぐるZINEなど、香川や瀬戸内の暮らしぶりを描いた作品が数多く並んでいた。
文学フリマ香川事務局・代表の西原舞さんは、香川での文学フリマ開催に至るまでの背景について、次のように語ってくれた。
「香川に住んでいると、東京とか大阪のことが、なかなか自分ごとにならないんです。どれだけ魅力的なイベントが開催されていても、『自分には関係ない』という気持ちが強くて。でも、四国や香川でも本にまつわる動きが起き始めていたのは肌で感じていたので、せっかくなら『私もやってみようかな』と」
もともと京都の芸術大学に通っていた西原さんは、就職を機に地元・香川へと戻った。しかし、何かを表現したり、ものをつくったりする時間をなかなか持てず、どこかでもどかしさを抱えていた。
そんなときに参加したのが、「BOOK遍路をつくる会」だった。高松市内にある本屋ルヌガンガのワークショップの一環として企画され、高松市を中心とする個性的な書店、私立図書館などを案内する「香川BOOK遍路マップ」を制作したのが、その始まりだった。

