2026年8月20日(木)

世界の記述

2026年8月20日

 公金不正受給の罪に問われていたフランス極右政党、国民連合(RN、旧国民戦線=FN)のマリーヌ・ルペン前党首ら同党欧州議会議員に対し、パリ控訴院はいずれも一審同様に有罪としたが、最大の争点だったルペン氏の被選挙権停止は実質的に不問となった。その結果、ルペンは来年の大統領選挙に立候補できることになり、判決の日に立候補を表明した。

(ロイター/アフロ)

 この判決は、フランス政治的な判断だと言える。大統領選挙に立候補にするか否かを国民に問いかけた形である。最後は「数の論理」を推し進める日本の政治とは大きく異なる。

 このフランスの裁きがどこまで正しいかは後の歴史が問い直すことにもなるものの、政治意識の違いを見せている。

RN公金横領事件

 RNの公金横領事件とは、2022年大統領選挙の際にマクロン大統領陣営が対立候補ルペンを攻撃するために暴露された。父ジャン・マリ・ルペンFN党首とマリーヌ・ルペンの親子と幹部の欧州議会議員の経験者・現職議員が、その議員割り当ての活動資金を不正流用したという嫌疑だった。

 24年11月に検察が5年の被選挙権停止を含む求刑を行い、一審のパリ軽犯裁判所は昨年3月、ルペンを公金横領体制の首謀者、資金疑惑の中心人物だとし、執行猶予付き4年の禁固刑、被選挙権5年間停止、10万ユーロの罰金刑を言い渡した。党幹部、有力政治家23人にも刑罰が科され、RN自体にも200万ユーロの罰金刑が下った。RN解体のための判決といってもよいほど厳しい判決だった。

 判決には「仮(即時)執行」宣言が付けられており、刑は即時執行された。ルペンは大統領選挙の世論調査でトップの支持率を得ていたにもかかわらず、立候補できないという異例の事態となった。すぐにルペンらは控訴していた。(拙稿「〈フランス民主主義の危機〉マリーヌ・ルペンはなぜ有罪になったのか?極右排外主義ナショナリスト排除、このままでは司法権力にフランス政治が支配される可能性も」Wedge Online2025/04/02)。

ルペンは裁かれたが・・・

 控訴審判決は一審に比べて、ルペン側にとって大幅の減刑と言える内容だった。ルペンは執行猶予付き3年の禁固刑の期限短縮、そのうち1年は受刑者の位置特定のためのGPS付き電子監視ブレスレット着用の自宅拘禁、また、15カ月の被選挙権停止(実際には即時仮執行により執行済み)、10万ユーロの罰金刑だった。

 RN自体も法人(法人格を有する団体)として有罪判決を受け、他の被告らにも有罪判決が言い渡されたが、刑の内容は大半の被告について第一審より軽減された。RNの副党首である元ルペンのパートナー、ルイ・アリオには、執行猶予付き懲役1年と執行猶予付き2年間の被選挙権停止が言い渡されたが、執行猶予付きであるため、同氏は引き続きペルピニャン市長の職にとどまることができる。

 極右政党RNでは、現職または元幹部を含む計11人が有罪判決を受けた。しかし有罪判決を受けた一人であるRN所属の下院議員ティモテ・ウッサンが告白したように、「全体として、私たちは皆ほっとしています」と語ったのは本音であった。


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