バスケットボールのBリーグ強豪、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(以下、名古屋D)の社長兼GM、東野智弥はじっとしていられない性分だ。来シーズンのチーム編成が一段落した7月中旬に渡米、米プロバスケットボールNBAの選手や関係者に会って米国の現地情報を仕入れた。その中には、かつて、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズと激闘を繰り広げたデトロイト・ピストンズの名選手、ジョー・デュマースとの会談も含まれていた。
カナダまで足を延ばすとNBAやメジャーリーグの最新テクノロジーを駆使したスタジアムを詳細に視察。米国でのコーチ留学経験をフルに活用し、新たなコネクションづくりにも精を出した。
今の時代、AIを使えばかなりの情報を得ることが可能だ。それでも現地に足を運び、土地の空気を吸い、人と会わなければ手にできない何かがある。東野がバスケットボールを通じて培ってきた心得である。
「人の動きと書いて働く。重い力と書いて動く。重い腰を上げないと力にならないですよね。いろいろなところに行き、人に会うことで、新しい発想が生まれる。アイデアがなかったらうまくいかないですから」
訪問したカナダでは、NBAトロント・ラプターズの施設を見学して大いに刺激を受けた。たとえば施設内にはカードキーではなく虹彩認証で入る。最初に登録するだけなので、利用者のストレスは少ない。選手は入館時間をはじめ、センサーが入ったボールでシュート練習をすると、どのポジションから何本打って、何本入ったのかまで記録される。どのポジションが得意なのか、けがを抱えていればどの程度影響するのか、全てが数字となって可視化されるのだ。言うまでもなく、このような施設を持つチームは日本にはない。
