最近露出が増えつつある家電に生ゴミ処理機がある。なぜ露出が増えているのかというと、自治体が補助金を出すからだ。東京23区でいうと千代田区をはじめ、約半分が補助金を出している。なぜ、公金を使ってまで生ゴミ処理機を普及させたいのか。生ゴミ事情を含めレポートする。
燃えるゴミの悩み
日本ではゴミは自治体が収集、処理することになっている。私が住む東京都江東区では、分類は「燃やすゴミ」「燃やさないゴミ」「資源」「粗大ゴミ」「回収できないもの」「会社から出るゴミ」に分類される。
それぞれ代表的なものは「燃やすゴミ」は「生ゴミ」、「燃やさないゴミ」は「電池」、「資源」は「びん・缶」、「粗大ゴミ」は「30センチ以上の大きなゴミ」、「回収できないもの」は「家電リサイクル法対象品」、「会社から出るゴミ」は「自己処理責任で」ということになる。
ざっくり言うと生ゴミは燃やすゴミの40%を占めるのだが、生ゴミは元々食材の一部。50〜95%は水分。つまり干からびさせると、量は半分以下になり、重さも半分以下になる。逆に水分が多い生ゴミはなかなか燃えない。山火事でも、生木が燃えるのは最後。このため、収集された可燃ゴミは、まず、ゴミバンカーに溜められ、大型クレーンで何度も上から下へ落とされ、均一化される。
ちなみにバンカーの大きさは、幅:17メートル、長さ:51メートル、高さ:17メートル。国際競泳用プールが幅:25メートル、長さ:50メートル、深さ:2メートル以上なので、どれくらいのサイズかがイメージできる。また、そこで使われる3機の巨大クレーンのバケットは容量:13立方メートル、6・5トンのごみを持ち上げることができる。
生ゴミはここで4日間、均一化され、300トン/日、処理できる焼却炉に送られ、800度以上で、24時間連続焼かれる。例えば、東京都港区の清掃工場は、炉を3機所有しているが、1機は予備として扱われている。焼かれて残る灰は、元の生ゴミの1/20。加えて、灰は1200度まで加熱、急冷し砂状の「溶融スラグ」する。容量は灰の1/2。スラグはアスファルト舗装材や埋め戻し材、地盤改良材など、土木・建築材として使われる。そこまでするのは、東京都は今ある処分場以外、最終処分場を持たない上、今ある処分場は、50年以内に使えなくなる見込みだからだ。
私が工場見学をしたのは2024年。24年の港区の生ゴミは、約4万5000トン。人口減の影響もあり、年々量は減っている。だが、減るのは数百トンくらいだ。日本が清潔なのは海外でも有名だが、その基本はこのゴミ処理システム、清掃工場を維持することとなる。
尽きない生ゴミの問題
これ以外にも問題がある。まずCO2削減を目指さなければならない。そうすると、現在の焼却処分で良いのかということになる。次に、5割以上が水である生ゴミをそのまま出すのかということだ。重いし、臭い、燃えにくい。この燃えにくい生ゴミを燃やすためのエネルギー、清掃工場へ運ぶための運賃、人件費も必要だ。特に収集のための人件費は馬鹿にならない。また就業者の年齢は高齢化している。とにかく、重い生ごみは百害あって一利なしと言うことだ。
だが、24年に清掃工場を見学した時、一番の問題と知ったのは、誤って生ゴミと共に捨てられたリチウム電池による発火だ。スマホ、充電池の普及により増えていると言う。生ごみはクレーンにより17メートルの高さから、何度も落とされる。電池が使われる環境としては想定外だ。もともと電気というエネルギーを持つ電池は、発火に及ぶ。このため、ゴミ処理を受け持つ自治体は、数年に一度、回収方法を見直し、今のごみ処理システムの維持を図っている。システムを維持することは本当に大変なのだ。
