「IoT」「AI」「ドローン」「ロボット」。今の家電を語る時、この4つは外せない。概念として、技術として、産業として。この中で一番歴史があるのがロボットだ。
おもちゃのロボットは歴史が古い。SF映画、特撮ドラマ、アニメなどに出てきたロボットはほとんどおもちゃになったと言ってもいいだろう。
だが、実際に動くロボット、しかも仕事をしない民生用ロボット(以下、コミュニケーションロボット)というと数えるほどしか上梓されていない。ソニーのAIBO / aibo(アイボ)、シャープのRoBoHoN(以下 、ロボホン)、そしてGOOVE X社のLOVOT(ラボット)などだ。
今年5月26日に、シャープのロボホンが発売10年を迎えた。今回、シャープのロボホンを中心にコミュニケーションロボットをレポートする。
ロボットの未来を考えていた日本
ロボットという言葉は1920年チェコ・スロバキアの作家、カルル・チャペックが使い始めた。チェコ語で強制労働を意味する「ロボッタ」から派生させた言葉で、彼は作品内に人型のロボットを登場させる。
世界的にはまだ植民地、奴隷制が当たり前の時代。ロボットは奴隷に代わり強制労働をする存在として世に出る。
だが、日本でそれまでと全く違うロボットが創作される。漫画の神様こと手塚治虫の代表作の1つ、「鉄腕アトム」だ。アトムは天馬博士により2003年に作られる。博士がアトムを作った理由は、息子トビオが交通事故でなくなった心の隙間を埋めるためだ。
しかし、子どもと違い、ロボットは大きくならない。怒った天馬博士はアトムをサーカスに売り飛ばしてしまう。時は流れ、感情を持つロボットに人間と同じように暮らす権利が法律化される。そしてアトムはお茶の水博士に引き取られ以降、大活躍するようになる。
鉄腕アトムは誰もが知っている物語で、その活躍は「心やさし、科学の子」だ。が、話の冒頭は、今の社会モラルからすれば、「見せられない」とカットされるか、改変されるレベルだ。
手塚治虫が慧眼であるのは、ロボットは身体的に成長しないこと。また単に存在するだけでは、心の隙間を埋めてくれないこともあることを指摘したところにある。
今回は「鉄腕アトム」をあげたが、石ノ森章太郎の「人造人間キカイダー」も深く考えさせられる。ロボットは人間の鏡として表現される。
ロボホン前夜 ーロボットの死ー
ソニーのAIBOが世に出たのは1999年。初代モデルは、メタルボディのロボット犬。21世紀はこんな時代になると、宣言しているようだった。AIBOは2006年までに3種類のモデルを出している。約2年に1回のモデルチェンジだ。2006年の販売終了時に私が思ったのは、「技術的にまだ早かったか」ということだ。
次にAIBOが話題になったのは2014年にソニーが修理を終了することがアナウンスされた時だ。一般的な家電の場合、中身はどんどん進化する。このため数年で、そのモデルを構成するパーツは古い、手に入らないパーツになる。だが、使われているパーツは、そのモデルの最終生産から、一定期間(多くの場合、約8年)保管され、修理に使われる。ソニーの行動は今までの家電で行われたことで、妥当と言うのが妥当だ。
ところが、ユーザーの認識は違った。AIBOは死なないペット、家族と言う認識だ。つまり修理できない=死亡な訳で、そんなバカなと言うことになる。それでも、これは実行された。ロボットはユーザーではなく、メーカーが見捨てると容易に死を迎える。
ロボホンの販売
2016年5月26日、シャープのロボホンは発売される。LTE・3G(LTE:LONG TERM EVOLUTION。モバイル通信規格:4Gのこと)モデルだ。デザインは、ロボットクリエイター 高橋智隆。電話の受話器に似たサイズ。約20cm。重さ 約400g。ロボットは二頭身。円を活かしたデザインでかなり愛くるしい。倒れても自分で起き上がれるし、踊りを踊れる位の運動性能を持っている。OSはアンドロイドだが、Google Playのアプリは使えない。第一世代には、WiFiも使えるモデルが追加される。
ロボホンは現在第二世代。第二世代には、WiFiモデル(本体価格 14万5200円)、LTEモデル(23万9800円)、動かず座ったままのライトモデル(9万5590円)がある。
10年でロボホンが、どのくらい売れたのかというと、約5万台だという。本体の売り上げだけだとメーカービジネスとしては弱い。また一方、そのまま放り出されるとユーザーとしても困ってしまう。ロボットではあるが、人が食事なしに、医療なしに、生活できないのに近い。
購入後必須なのが、月額1078円のココロプラン。ロボホンは毎月アップデートされるが、その費用と考えれば良い。また、特殊アプリ費がある。ChatGPTを活用したAI会話アプリ:月額330円など。こちらは選択制だが、AIはロボットコミュニケーションには心強い友。さらに診断サービスなどが用意されている。
ちなみに、私はコミュニケーションロボットのユーザー集会に何度か出てことがあるが、裸のロボット、メーカーから出荷された状態のロボットに会ったことがない。服を着せられ、子どもの様に扱われている。皆んな自作。
コミュニケーションロボットのアフターマーケットはとも広そうだ。
