現在、米連邦議会の勢力図をみると、上院は共和党53議席、民主党47議席(無所属2議席を含む)、下院は共和党218議席、民主党212議席、欠員5議席である。今年3月上旬に、南部テキサス州などで予備選挙が始まった米中間選挙では、上院が注目される。『【中間選挙】何としても勝たなければ身が危ういトランプ』で述べたように、下院は民主党の多数派奪還が予想されているからである。
民主党が上院で多数派を奪還するためには、4議席の上乗せが必要である。同党は、多数派になるために北西部アラスカ州、中西部アイオワ州、東部メイン州、南部ノースカロライナ州、中西部オハイオ州および南部テキサス州の6州の中から、最低4州で勝利を収めなければならない。同時に、中西部ミシガン州と南部ジョージア州の現議席を死守することが不可欠である。
11月3日の中間選挙は、当初、イラク戦争の影響を多いに受けた2006年米中間選挙に類似すると言われていた。同選挙では、民主党が上院で6議席(無所属1議席を含む)、下院で31議席を上積みし、上下両院で過半数を獲得した。2月18日に始まった対イラン戦争が、選挙結果に影響を与える可能性が今回もあるからだ。となると、ドナルド・トランプ米大統領(以下、初出以外敬称および官職名略)は、中間選挙の投票日までに、イランが交渉のテーブルにつき、協議が再開され、戦闘が終結していることを望んでいるとみてよい。少なくとも、投票日前日における停戦は必須である。
一方、米国内では、物価高を含めた経済状況の改善が喫緊の課題である。2026年米中間選挙のシリーズの2回目は、民主党のトランプに対する攻撃材料と米有権者の投票意欲に焦点を当てる。
「キッチン・テーブル・イシュー(kitchen-table issue)」
今秋の中間選挙において民主党が、「経済」をトランプに対する攻撃材料として使うことは容易に想像できる。トランプは今年2月、「物価高の危機は終わった」と述べ、今後、経済は争点にならないという認識を示したが、彼のこの認識は有権者の意識とかなりかけ離れている。
英誌エコノミストと大手世論調査会社ユーガブの経済に関する全国共同世論調査(2026年7月25~27日実施)の結果をみてみよう。同調査によれば、「米経済は今後良くなるのか、悪くなるのか」という質問に対して、14%が「良くなる」、21%が「同じ」、60%が「悪くなる」、6%が「分からない」と答えた。前回の同調査と比較し、「悪くなる」が2ポイント増加し、6割に達した。米国民は経済の今後に関して悲観的であることが分かる。
また、中間選挙における最も重要な争点について尋ねたところ、米国民の27%が「物価」、14%が「雇用」と答え、経済が争点の1位と2位を占めた。ちなみに、3位は「医療保険」の9%であり、移民問題や安全保障問題よりも上位にある。つまり、米国民の関心は、家計や物価、仕事、医療費など、身近な暮らしに関わる問題、いわゆる「キッチン・テーブル・イシュー(kitchen-table issue):家族が食卓で話し合う日々の生活に直結する身近な経済や社会問題についての話題」に集まっているのである。
さらに、同調査(2026年7月17~20日実施)では、「トランプ大統領はどのぐらいあなたのような人を気にかけていますか」という質問に対して、18%が「非常にしている」、16%が「いくらかしている」、12%が「あまりしていない」、51%が「全くしていない」、3%が「分からない」と回答した。「していない」(「あまり」と「全く」の合算)が6割を超えた(図表1)。
世論調査で定評がある米クイニピアック大学(東部コネチカット州)の全国世論調査(2026年7月23~27日実施)においても、68%が「トランプ大統領は大抵の米国人が直面している問題に対して十分に取り組んでいない」と回答し、不満を抱いていることが明らかになった(図表2)。米有権者は、トランプにイランではなく物価高と戦ってもらいたのだ。


