2026年9月7日(月)

Wedge REPORT

2026年9月7日

 ここ数年、日本でクマに人が襲われる被害が頻発している。市街地まで姿を現すようになり、人身被害も増えてきたため、大問題になってきた。やはり“猛獣”が身近に出てくると聞けば、人々に強い恐怖のインパクトを与えるからだろう。

(JMP Traveler/gettyimages)

 なぜ、日本でクマが増えたのか。なぜ人里に下りてくるのか。対策は……。そうした疑問を口にする人も増えたが、クマ問題が激化しているのは、日本だけの特殊事情ではない。

 世界に目を向けると、同じような事態が広がっていることに気づく。その情況を紹介しつつ、対策として何が行われているのか、日本でも可能なのかを考えてみたい。

日本だけではない人里への被害

 世界のニュースを追うと、野生動物が市街地に出没する事例は各地で頻発しているようだ。ここでは主にクマを中心に見てみよう。

 北米には、アメリカクロクマ、ヒグマ、ホッキョククマが生息する。20世紀初頭は生息数が激減していたが、現在はアメリカとカナダ両国でクロクマは約70万頭、ヒグマ約6万頭、ホッキョクグマ約2万頭と増えてきた。

 それだけに市街地にクマが侵入するケースは、ニュースにならないほど件数が多いという。ところが、死亡は年間15件前後、負傷者は数件しかない。

 ヨーロッパにヒグマは約20万頭いるが、特に問題となっているのが、ルーマニアとスロバキアだ。クマの出没は年間5000件以上もあり、ウマやウシなど2000頭超の家畜が殺され、農家に大きな経済的損失を与えている。

 また過去5年間にクマに襲われて計18人が死亡し、200人以上が重傷を負った。なおオオカミも増えていて、約2万頭と10年で倍増した。人身被害はないが、家畜被害が多い。

 アジアには、ヒグマ、マレーグマ、ナマケグマ、ツキノワグマが生息するが、被害が大きいのはインドだ。ナマケグマが人を襲う事件が年間約1000件以上起きており、うち1割が死亡している。またトラやライオン、ゾウも出没して、人身被害を発生させている。

 こうした事例を追うと、クマなど危険な野生動物の人里への出没は、日本だけではないことがわかる。むしろ日本が世界と同じ傾向になってきたと見るべきだろう。


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