駆除はあまり行われない
では、出没するクマ対策として、各国ではどんな手法が取られているだろうか。
アメリカでは、クマを獲物とするハンティングが盛んで、年間約5万頭のクロクマが捕獲されている。ただ、この場合は森林や原野で行うものだ。人里に出てきたクマに対しては、意外なことに銃による駆除をあまり行われない。
クマが市街地に現れると、インクが付着するペイントボールや、貫通せず衝撃を与えるビーンバッグ弾などを使って、殺さず追い払う。それ以上に重要とするのは餌となるものの管理だ。クマなどが人里に現れるのは、人の食べ物を狙っているからだとして、徹底的に餌となるものを遠ざける努力をしている。
野生動物の出没の可能性のある地域では、駐車場やキャンプ場、トレイル(自然散策路)の入口に、たいていフードロッカーが設置されている。頑丈な金属製の箱で、ここに食料を保管してクマに狙われないようにする。生ゴミも同じような扱いだ。
また自然公園に入場する際はクマスプレー(クマ撃退用の唐辛子成分のスプレー)の携帯することも強く推奨されており、携帯率は約60%に達する。
ヨーロッパでは、クマなどに餌を与える行為は違法行為と規定され、最大約4000ユーロ(70万円以上)の罰金がある。加えて捕獲したクマにGPS発信機を取り付け、追跡して位置を把握している。ヨーロッパ全体で1500頭以上の個体に取り付けていて、もしそれらの個体が人里に近づけば警報が出される。
なおヨーロッパの野生動物および自然棲息地の保全を定めたベルン条約では、クマの扱いを変えようとしている。これまで「厳重保護」だったが、引き下げようというものだ。環境団体の反対はあるが、支持する国が増えてきた。
すでにベルン条約では、25年にオオカミの扱いを「厳重保護」から「保護」に引き下げ、管理(間引き)も認められているが、クマも同じようになるかもしれない。
