ロシアのみならず、「比較権威主義」の研究者でもあるジュリアン・ウォラー氏が、Foreign Affairs誌(web版)に‘After Putin’と題する論文を8月7日付で寄稿し、プーチン大統領の後継者問題は、プーチンを支える高齢エリート層の世代交代と長年昇進を抑えられてきた若い世代の台頭が重なって、大きな権力闘争になる可能性がある、と指摘している。
(Getty Images・ロイター/アフロ)
この論文は、プーチンが突然政権からいなくなった場合の状況を、類似性のあるスターリン死亡時との比較を含め論じたもので、示唆に富む内容となっている。
プーチンはスターリンと同様、後継者を指名することなく、また後継のプロセスを制度化することもしなかった。よってプーチンが去る場合も、スターリン死亡時のように独裁者を支えてきたエリート層の間での激しい権力闘争が予想される。
ただし、プーチンの場合、同人を支えるエリート層がプーチンと同程度に高齢化している点においてスターリンの場合と異なっており、「プーチン後」は「スターリン後」以上に激しい権力闘争となる。これがウォラー氏の主張のポイントである。
以下においては、この論文の内容を補足するコメントをしておきたい。
1953年3月、スターリンが死亡した時、モロトフ外相(当時62歳)を除き、マレンコフ首相、ベリア内相、フルシチョフ中央委書記ら、それまで政権を支えていた幹部たちはいずれも50歳代であった。その後57年6月の中央委員会総会で、フルシチョフが政敵を「反党グループ」として一掃することに成功した時点を、同人が最終的に権力を掌握した時とすれば、彼が政敵を排除して権力を掌握するまで4年かかったことになる。
