Economist誌8月1日号の社説は、「最近、アジア太平洋地域における中国海軍・空軍・海警局の強硬姿勢が目につくが、中国は米国(特にトランプ大統領)の同地域への関与の度合いがどの程度のものか試しているように見える」と指摘している。主要点は次の通り。
7月19日、中露の軍艦が、日本の最南端の排他的経済水域(EEZ)を並走しながら通過した。6月下旬、中露の空軍は、日本海と東シナ海上空で核兵器搭載可能な爆撃機による共同飛行を行い、その後、日本の南西諸島の間の海域を通過して太平洋へ出た。中国は、台湾の東側における海警局パトロールも強化している。
7月初旬、中国南部の沖合に停泊中の潜水艦から弾道ミサイルを発射し、フィリピン上空を越えて太平洋へ落下した。その数日後、南シナ海にある係争中の2つの小島をめぐり、中国とフィリピンの乗組員の間で小競り合いが起こった。
中国の強硬姿勢の高まりは目新しいことではない。しかし、昨年10月、今年5月の米中首脳会談以来、トランプ氏や多くの米政府高官は、中国を批判しないように注意を払い、中国の威圧に直面している同盟国を擁護することにも消極的になっている。これは、今年予定されている3回の首脳会談が、より円滑に進むことを期待してのことだろう。
トランプ氏はイラン問題に多くの時間を費やしており、アジア太平洋地域への関心を逸らしている。現在、中国は米国の防衛ラインを探り、同地域における米国の関与がどの程度のものになるかを試しているように見える。
当てにならない米国と攻撃的な中国に直面する中、アジアにおける米国の同盟国は、安全保障を強化するために次の3つの課題を達成する必要がある。
(1)自国の防衛力を強化すること、(2)相互の連携を強化すること、(3)米国による同盟国への関与を強化することである。
最初の2つの課題については、不十分ではあるものの、大きな進展が見られる。豪州、日本、フィリピンは防衛費を増額し、軍の近代化を進めている。また、豪州と日本はともに、フィリピンの海上防衛力強化を支援するための援助を行っている。
しかし、もし米国が関与しないことを選んだ場合、それだけでは不十分だろう。欧州と異なり、アジアの同盟国は、「プランB」として、この地域の勢力均衡を維持できる連合を形成するには規模が小さすぎる。アジアには北大西洋条約機構(NATO)のような集団安全保障条約は存在せず、米国との二国間安全保障条約があるのみだ。米国の同盟国による防衛費総額は中国の半分にも満たず、核兵器保有国は一つもない。
