2026年10月6日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年10月6日

 2026年9月9日付フィナンシャル・タイムズでエドワード・ルースが、クシュナーとウィトコフの素人外交と題し、戦争後の巨額利益という魅力で平和が達成できるとの間違った考えがウクライナやガザ、イランへの米国外交を妨げていると批判している。

ウクライナでゼレンスキー大統領(右)と対談したトランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏(左)とスティーブ・ウィトコフ米特別代表(ロイター/アフロ)

 クシュナーとウィトコフは不動産を知り尽くしている。二人ともビジネスと政治を組み合わせる億万長者だ。

 両者は、モスクワとキーウを訪問したが、成果は乏しかった。プーチンとゼレンスキーは、二人を丁重に扱った。

 クシュナーとウィトコフの交渉戦術の核心は、戦争後にもたらされる巨額の利益という魅力で相手を誘惑することだ。米国と手を組んで重要鉱物を採掘し、AIデータセンターを建設しようという発想だ。

 しかし、ゼレンスキーの仕事はウクライナの防衛だ。プーチンが欲しいのは停戦後の取引ではなく、ウクライナを全部または一部「ロシアの母なる祖国」に戻すことだ。

 ビジネスから見れば、ウクライナよりロシアの方が重要だ。国土が大きく、天然資源も豊富だ。よく言われるように、「ロシアが戦うのをやめれば戦争は終わる。ウクライナが戦うのをやめれば、ウクライナが終わる」のだ。

 ウィトコフとクシュナーは、過去18カ月間に夫々ロシアを7回と3回訪問した。それだけロシアを訪れているのなら、今回のシャトル外交では最初にキーウを訪問すべきだった。

 しかし、二人はまずモスクワに向かった。そして、既にゼレンスキーが拒否したものよりも、さらに厳しいと伝えられるプーチンの提案を、ゼレンスキーに提示した。それは実際にクレムリンが作ったものだった。


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