2026年11月5日(木)

解剖:「大きな政府」を好む日本

2026年11月5日

 民主主義体制は、権威主義体制より豊かで安定した社会をつくれるのか? 21世紀に入り、一部の権威主義国家が高い経済成長を遂げると、民主主義体制の経済的優位は自明ではなくなった。AI、半導体、重要鉱物、電力などの戦略分野でも、国家が長期的な目標を定め、資金、人材、技術を集中させる権威主義体制が存在感を強め、こうした体制の方が国際競争に適しているのではないかという見方も広がっている。

(master1305/master1305/gettyimages)

 だが、両者の違いは、どちらの政府がより効率的な統治や優れた経済パフォーマンスを実現できるかという点だけにあるのではない。誰が将来を選び、資源配分を決め、選択が誤っていた時に、誰がどのように修正するのかという点にある。

 権威主義体制では国家が資源を一つの方向へ集中させる。民主主義体制では、政府、企業、大学、投資家、自治体、市民が異なる試行を進め、その積み重ねから社会の進路が形成される。

 ところが民主主義国でも、政府が重要分野を選び、補助金、政策金融、政府調達、税制優遇、価格保証、規制を組み合わせる政策が広がっている。日本でもAI、半導体、重要鉱物、量子技術、造船、防衛などへ資金を重点投入している。国際競争、危機管理、供給網や国土の強靱化が積極財政と結び付き、政府による産業選択は「国を守る」政策として正当化される。

 これは新しい政策に見えるが、国家が目標を定め、官僚が産業と技術を選び、民間部門を誘導する手法は明治以来のものである。現在の競争は、この官僚主導型国家を新たな正当性の下で強化しているのではないか。


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