2026年10月5日(月)

World Energy Watch

2026年10月5日

 トランプ大統領の支持率が下がっている。米国の世論調査を見ると共和党、民主党への強い支持がそれぞれ25%ずつ、どちらかと言えば支持がそれぞれ15%ずつなので、合計すると有権者の約4割がどちらかの政党を支持している。

(ImageegamI/gettyimages)

 拮抗している支持率だが、共和党支持層の5分の1から4分の1がトランプ大統領不支持にまわったようだ。無党派層からの支持を入れても、トランプ支持は4割に届かず、トランプ政権では最低になった。

 その大きな理由は、物価上昇だ。関税による輸入品に加えガソリンとディーゼル油値上がりの影響が大きい。大都市を除き公共交通機関が限定される米国ではガソリンへの支出額は家計に大きな影響を与える。

 ディーゼル油の値上がりはトラック輸送費の上昇を通し多くの商品の物価を引き上げるが、ディーゼル油は米国史上最高レベルまで上昇している。10月2日の全米平均価格は1ガロン当たり約6.37ドル。1リットル当たり約265円になる。

 多くの有権者が物価上昇を引き起こした関税に不満を持っている。加えてイラン戦争がエネルギー価格の上昇を引き起こした。有権者は、やはりイラン戦争にも不満だ。

 しかし、トランプ大統領はロシアの製油所へのウクライナの攻撃が世界2位のディーゼル油輸出国ロシアの輸出禁止を招き、世界の価格を上昇させたと考え、ウクライナにディーゼル油の精製設備への攻撃中止を呼びかけた。ウクライナとロシアはインフラへの攻撃の停止を発表したが、守られることはなく、両国とも相手国のエネルギーインフラへの攻撃を続けている。

 ロシアの製油所への攻撃停止が実現しなかった後、トランプ大統領は米国からのディーゼル油の輸出禁止案を持ち出した。米国は世界最大のディーゼル油の輸出国だ。欧州のディーゼル油輸入の半分以上を供給している。

 禁輸は国内のディーゼル油の供給を増やし価格の下落に結び付くはずだが、共和党内でも提案への賛否が割れた。欧州内では米国の輸出禁止案がさらなるインフレを引きおこすと非難する声が高まった。

 結局日本を含む主要7カ国(G7)が米国時間10月2日にオンライン会議により欧州内でのディーゼル油の供給を主目的に、石油備蓄の最大1億バレルの放出を決めた。トランプ大統領は禁輸を見送ると発言した。

 禁輸を実行しても価格が下がらず、逆に米国内でもディーゼル油価格は上昇するとの見方が強かったが、なぜだろうか。そこにはディーゼル油の精製と輸送に係わる米国内の複雑な事情がある。


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