「グルメ」な人に紹介してもらうと「よくこんなお店を知っているな」と驚かされることがよくあります。横浜駅東口から徒歩10分ほどの場所にある、日本料理・楽只もその一つです。私のお付き合いのある、某企業の役員の方の運転手さんがとてもグルメで、その方の勧めで連れて行っていただきました。
店主の青山力三さんがこだわるのは「旨味」と「発酵」です。
「料理の世界に入ってから、『日本人だけが旨味というものが分かる』と聞いたことがありました。その後、ご縁を頂いて、ドイツの日本料理店で働いたのですが、ヨーロッパは基本的に硬水なので、旨味を出すことが難しいのです。緑茶を入れてもすぐに色が変わります。その代わり、コーヒーや紅茶を入れると格別に美味しいし、パスタを茹でてもきちんとアルデンテになります。やっぱり、それぞれの地域に特性があって、『日本人だけが旨味が分かる』という話がなされるのも、日本という場所の特性のせいなのかもしれないと思いました」
私も同じような経験をしました。2015年「欧州文化首都」というプロジェクトでベルギーのモンスというまちで、出汁のワークショップを複数回担当することになった時、出汁をとるのが大変で、軟水のフランス・ボルビックを探し回りました。
ちなみに、昆布はグルタミン酸、鰹節がイノシン酸、干し椎茸がグアニル酸で、これらが「旨味」の素になります。日本人は、昔からこれらで出汁を取ってきたので、旨味を感知することに長けるようになったのかもしれません。
「同時に、旨味を出すために大きな役割を果たしているのが『発酵』です。味噌、醤油、清酒、鰹節など、すべて発酵したものです。そして、発酵に使われるのが『日本麹カビ(アスペルギルスオリゼー)』です。日本醸造学会によって『国菌』にも指定されています。日本麹カビは、分解力がとても高く、たくさんの酵素を生み出します。それによってタンパク質を分解してアミノ酸をつくる、つまり旨味ができます。それが食材の味に深みをもたらしてくれるのです」
