2026年10月29日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年10月29日

 2026年10月1日付Economistは「トランプと金正恩を一緒の部屋に入れてはいけない」とする社説を掲げ、予定が噂される米朝首脳会談の危うさを警告している。

(Dragon Claws/gettyimages・ロイター/アフロ)

 トランプ大統領は、金正恩は自分を尊敬し好きだから自分が大統領である限り彼は大丈夫だと言うが、他の者はそれほど楽観的では無い。金は世襲の神権的王で、57~120発の核爆弾を保有し、毎年10~20発の核爆弾を作れる放射性物質や韓国を攻撃できる短距離ミサイル、米国と欧州まで届く大陸間弾道ミサイルを生産している。

 北朝鮮の核兵器計画を終わらせる過去の国際的努力は失敗した。金正恩は父と同様、核兵器こそが政権転覆を防ぐ最大の保証だと見ている。

 核兵器未保有のイランへの米国の戦争は、確実にこの見方を強めた。従って、北朝鮮は核兵器を放棄すべきだという米国の見解は非現実的に見え、それを変更すべきだとする向きもある。

 トランプと金正恩の過去3回の会合が何も生み出さなかったにもかかわらず、トランプがこの「友人」と再会したいと考えているのは明白だ。トランプが11月18日の中国アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に参加すれば、会談は起こり得る。

 金正恩がトランプに会うため訪中するか、トランプがこの閉鎖国家を訪問する初の米国大統領になる可能性がある。しかし、金は、米国が北朝鮮を核兵器国として公式に認めることを会合の条件としている。

 北朝鮮は実際核兵器を保有し、核兵器国と認めるのはそんなに悪いことなのか。韓国の李在明大統領は非核化協議棚上げを提案している。李大統領は、この棚上げで、他のより戦術的な問題で前進できると信じている。

 それらの問題は、ホットライン開設や相互訪問、貿易投資拡大等の信頼醸成措置を含む。おそらく、南北国境からの一部部隊撤退も可能かもしれない。一方、北朝鮮がその核兵器を少量減らし、もし米国が完全な非核化要求を取り下げれば、ウクライナ人を殺傷するミサイルや北朝鮮部隊の対ロ提供を止めるかもしれない。

 残念ながら、この取引には3つの問題がある。第一に、世界的核不拡散システムを弱める。北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)に加入しつつ誤魔化しても罰せられないのなら、他国はそれに留意するだろう。


新着記事

»もっと見る