第二に、金は信頼できない。彼はどのような合意に署名しても、自分に好都合であれば、破る可能性が高い。
核兵器国として認めれば金がより敵対的でなくなると考えるのはナイーブだ。米国の脅威を喧伝することで、金は自身が抑圧している国民の保護者として振舞える。これが、彼の国内的宣伝の重要な要素だ。
最後の問題はトランプ大統領だ。北朝鮮との間の全ての取引は非常に技術的だが、トランプは細部に強くない。トランプが十分準備しないまま愛想の良い金に会えば、考えられない程悪い取引が成立し得る。トランプは、1953年以来北朝鮮を抑止してきた在韓米軍の多くの撤退に合意するかもしれない。
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イラン情勢にも影響する可能性
今秋、深圳APEC首脳会合前後に、米朝首脳会談が開催されるかもしれないという報道があった。昨年8月21日、李在明韓国大統領は、非核化実現を当初目標とはせず、「第1段階で核とミサイル開発の凍結、第2段階で縮小、第3段階で非核化」を目指すとの、「3段階の非核化」に初めて言及した。それから既に1年以上が経った。
一方、北朝鮮は、昨年8月19日、金与正が、李大統領を「歴史の流れを変える偉人ではない」と批判し、李政権が掲げる北朝鮮との対話再開を目指す方針は「妄想であり夢だ」と主張した。そして、「我が国の外交相手になることはできない」として韓国との対話を拒否する姿勢を強調した。
李在明大統領の昨年8月21日の発言は、ウクライナ戦争ではアラスカでの米ロ首脳会談の直後で、イランとの12日戦争開始直後でもあり、トランプ大統領が当時その意味を落ち着いて吟味する余裕はなかったであろうが、現時点では、米朝関係を進める上での後押しと認識されているだろう。そして、金与正の発言は、「韓国は相手にしないが、米国なら相手にする」と読めなくもない。
しかし、いまだにイランの非核化は手つかずなことを忘れてはならない。この社説が指摘するように、李大統領のラインで米国が物事を動かせば、イランにとっては、「核兵器を持てば米国から譲歩を引き出せる」と見えるだろう。
