2026年10月21日(水)

Wedge OPINION

2026年10月21日

 ロシアが戦争を始めて5年目の2026年、ロシア中心部はウクライナから攻撃を受けている。このことは、ロシアの行動を変えるのだろうか。

2026年9月20日、ウクライナによるドローン攻撃を受けたとされるモスクワの石油精製所(REUTERS/AFLO)

 その最高責任者であるプーチン大統領は、これまで試みと失敗を重ねてきており、そのことが彼の思考を拘束しているように見える。22年2月24日に彼が開始した「特別軍事作戦」は、首都キーウなどを攻撃することにより、数日間でゼレンスキー政権を崩してウクライナをロシアに従属させようという試みだった。

 しかし、その目算ほどウクライナは脆弱ではないどころか、そこに住む人々は旧ソ連時代にも総力戦、工業生産、ロケット技術を経験し担ってきた人々だった。ウクライナは防空戦闘によってロシアによる航空優勢奪取を拒否し、補給や防護が不足したロシア前進部隊を阻み大損害を与え、キーウ周辺から撤退させた。

 これは失敗であったが、プーチン大統領は失敗を勝利で塗り替える次の試みを始めた。これ以降の4年以上は基本的に、キーウに最大限を要求しながら、それを強要するには足りない戦力で攻撃を続けるという、無理がある試みの連続となっている。ウクライナは、自国民を殺し続けるロシアが国防の無力化と領土の割譲を要求してきても、受け入れるはずがない。キーウが脅かされず国家として戦えている限りは。

 4月にロシア軍がウクライナ東部の制圧作戦に集中したのは、現有兵力でウクライナを屈服させる試みだった。しかし、ロシア部隊はウクライナに補給線を妨害され、9月にハルキウ州東部でウクライナ機甲部隊の奇襲作戦により大敗を喫した。

 ここで退くわけにはいかず、プーチン大統領はそれまで避けていた兵力の動員に踏み切った。ウクライナ全土を爆撃対象にして住民を死傷させ疲弊させながら、ロシア軍が新たに得た約30万人を訓練し投入すれば、ウクライナを圧倒して屈服させられるだろうとの試みである。

 しかしロシアが攻めれば、ウクライナは不利を埋め合わせるように適応し、戦場は変化していく。ウクライナは社会の各所で技術と意欲を持つ人々が創意工夫を行う場であり、新規開発のドローンやネットワーク技術を軍がどんどん適用し、偵察、通信、意思決定、打撃を高速、高精度に実行できるようになった。

 ロシア軍は兵力を集中して前進を試みたが、ウクライナの防御線の前に機甲戦力も歩兵も打撃を受けて敗退した。それでも制圧を求めて、現在は小規模歩兵を市街や森林へ少しずつ入り込ませる「浸透」を行い、生き残った歩兵が後続を待つことを頻繁に繰り返し、大量の損耗を代償としてわずかに前進している。


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