フランス全土でデモが繰り広げられ、一部で略奪行為も発生する中、マクロン大統領が湾岸5カ国を歴訪した。産油国からディーゼルの追加供給を取り付けるなどエネルギーの安定確保により、国民不満の一つとなっている物価高騰への対策を講じる。
アラブ首長国連邦(UAE)とは防衛協力協定も締結し、技術基盤を強化するとともに、防衛産業の活性化で国内経済の回復を図る。マクロン大統領の狙いは結実するのか。
物価高の一因となるエネルギー価格高騰
フランスの生活費への不満の一因に、エネルギー価格の上昇が挙げられる。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア産エネルギーへの依存を縮小し、調達先の多角化を進めてきた。しかし、26年2月末に始まったイラン戦争によって中東からのエネルギー供給にも支障が生じ、新たな供給ショックに直面した。
大量の石油や液化天然ガス(LNG)が日々通過していたホルムズ海峡が通航困難に陥った。また、イランによる報復攻撃は湾岸諸国の製油所やLNG生産施設にも及び、施設の損傷によって石油製品やLNGの生産能力が低下した(参考「ホルムズ海峡封鎖だけではない!深刻化する湾岸諸国の石油・ガス施設攻撃、さらに高まるエネルギー供給不安」)。
ガソリン(SP95-E10)とディーゼルの26年9月小売平均価格は、1リットル当たり2.14ユーロと2.34ユーロで、ロシアのウクライナ侵攻後に高騰した22年6月の約2.09ユーロを上回る。特にディーゼルの上昇が目立ち、燃料価格の高騰が家計負担を一段と押し上げている。

