2026年11月2日(月)

World Energy Watch

2026年11月2日

 また、フランス・エネルギー規制委員会(CRE)の天然ガス調達費の参照値は、26年2月の1メガワット時(MWh)当たり27.31 ユーロから5月には47.48ユーロへ急上昇した。9月に52.30、10月に61.22、11月に適用値71.12へと上昇傾向にある。11月値はイラン戦争開始時の約2.6倍に相当する。

 家庭向けガス料金も上昇した。26年2月から10月にかけて、税込みの平均従量単価(ガス1キロワット時(kWh)当たりの料金)は、調理・給湯用で約37%、暖房用で約46%上がった。基本料金も調理・給湯用が約3.5%、暖房用が約4.9%上昇した。

 一方、電気料金はイラン戦争後も急騰していない。INSEEの消費者物価指数(25年=100)で、電気料金指数は26年2月の96.57から9月の99.91へ約3.5%上昇。ガス価格に比べれば緩やかである。

 その背景には、フランスの発電部門における化石燃料への依存度の低さがある。25年の発電比率では、原子力が66.7%を占め、再エネも26.5%だった。

 フランスは70年代以降、原子力を電力政策の柱としてきた一方、家庭・産業・輸送部門では依然として化石燃料依存が続いている。25年の一次エネルギー消費構成は、原子力が43%を占める一方、石油(原油・石油製品)が26%、天然ガスが12%、石炭が2%となっている。

 化石燃料の合計は約4割に達している。このため、国際的な原油・天然ガス価格の変動は、依然として国内の燃料価格やエネルギーコストに影響を及ぼす要因となっている。

湾岸歴訪と資源外交

 マクロン大統領はエネルギー価格の高騰を抑制するため、10月2日に主要7カ国(G7)首脳会議を主催し、国際エネルギー機関(IEA)との調整の下、4カ月間で最大1億バレルの石油備蓄を協調放出することで合意した。特に供給が逼迫するディーゼルを優先し、石油製品価格の安定化を図る方針である。

 さらにマクロン大統領は10月19~21日、クウェート、UAE、バーレーン、カタール、サウジアラビアの湾岸5カ国を歴訪した。訪問には、国防相や経済・財務相、外相ら主要閣僚に加え、トタルエナジーズやエンジー、テクニップ・エナジーズなどエネルギー関連企業や、AI・防衛関連企業の経営陣も同行した。

 具体的な成果として、フランス向けディーゼルの追加供給確保が挙げられる。UAEとバーレーンは、それぞれ月間10万トンを3カ月間供給することを約束した。また、フランスはサウジから10~11月向けにディーゼル9.5万トンを確保し、必要に応じて供給期間を延長できる。

 これらの供給量は、1日あたり2.5万バレルの追加供給に相当する。マクロン大統領は、こうした湾岸諸国からの追加供給とIEAの協調備蓄放出を組み合わせることで、国内の燃料需給の逼迫を緩和し、価格の安定化を図る狙いがある。


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