2026年10月30日(金)

21世紀の安全保障論

2026年10月30日

 ロシアのプーチン大統領が北方領土の択捉島に初上陸してから2カ月後の10月13日、今度は中国・黒竜江省の省政府職員と企業関係者が同島に乗り込み、水産物の養殖など現地での共同事業に関して調査した。ロシアが北方領土に中国の代表団を受け入れたのは初めてで、ロシアの不法占拠を是認するような今回の渡航に対し、茂木敏充外相は「決して受け入れられない」と中露両政府に抗議した。

 しかも同じ日に、ロシアは極東サハリン州で、北海道新聞の日本人記者を「スパイ容疑」で拘束したと公表し、ロシア外務省は、中国の日本批判の常とう句である「再軍備」を使って、「日本の再軍備に対するロシアの懸念に日本政府は耳を傾けていない」と批判した。

(daboost/gettyimages・UPI/ロイター/アフロ)

 相次ぐロシアの傍若無人な振る舞いと、それに呼応する中国――。政府は「露中結託」の背景と目的を検証し、ロシアと中国への対抗手段を講じる必要がある。

ウクライナ戦争の長期化で中国の意向に従うロシア

 今の露中結託の流れは、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁直後の昨年12月、中国の王毅外相がロシアを訪問し、「日本の極右勢力が地域の平和と安定を破壊し、再軍備を企てる挑発行為を中露が協力して阻止する必要がある」とする中国政府の意向をロシアのラブロフ外相に伝え、両国が連携強化で一致したことがスタートだと言っていい。

 ただし、ロシアのウクライナ侵略と戦争で、米欧日などの西側諸国は対露制裁を強化、真っ先に「国際通貨決済システム」からロシアを排除したことで、ロシアはエネルギー輸出等で外貨を得なければ経済は破綻するという状況に陥った。そこに助け舟を出したのが中国で、中国はロシアを人民元の経済圏に組み込み、ロシアから原油などのエネルギーや食料を大量に輸入することでロシアの戦時経済を支えてきた。

 この結果、今のロシアは中国の意向に沿った施策しか行えなくなってしまった。まさに軍門に下ったと言っていい。


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