今こそ必要な強くしたたかな外交戦略
日本は今、ロシアと中国が結託し、2つの大国と向き合わざるを得ないという安全保障上最悪の事態に直面している。ただし重要なことは、日本が単独で中国、そしてロシアと対峙することだけは避けなければならない。
例えば、中国が日本を国際社会で孤立させようと続けている「軍国主義キャンペーン」に対抗する手立てとして、中国が陸上と海中から24年と26年に強行した弾道ミサイルの発射実験を非難し、日本は着弾地に近い太平洋諸国と協働で、中国の核戦力とミサイル開発への懸念を国連などの場で発信することができるだろう。
日本は災害など緊急時の支援を目的に、97年から南太平洋の島嶼国首脳らが参加する「太平洋・島サミット」を開催しており対中脅威認識でも一致できるはずだ。
中国の歴史戦は、自国に都合の良い方向に誘導するためのナラティブ(物語・言説)が仕掛けられている。例えば、「旧敵国条項」や「北方領土に対する中国の態度」については、過去の中国政府の対応との矛盾を積極的に指摘し、中国外交のご都合主義を国際社会に訴えることも重要だ。いずれも高市首相や茂木外相ら首脳による外交が欠かせない。
ただし、難しいのはロシアへの対応だ。プーチン氏の択捉島上陸に際し、高市首相は自ら先頭に立って「日本国内の対露感情を一層厳しくし、関係回復を困難にしたと言わざるを得ない」と厳しく批判した。しかし、その後に続くロシアの挑発行為に対しては、抗議はするものの駐露大使の召還を含めた強硬措置には踏み切っていない。
ウクライナ侵略後も日本企業が参画するロシア極東の液化天然ガス(LNG)事業「サハリン2」からエネルギー資源を輸入していることなどがその背景とされる。しかし、ロシアによるこれ以上の挑発行為を許さないためにも、政府は覚悟を決め、輸入の見直しや権益の放棄を含め、同志国と協議しながら、ロシアの戦時経済をさらに疲弊させる手立てを考え、実行する必要がある。そうした外交戦略が日本には求められているのである。
