金氏が対日批判で「軍事大国化」に言及するのはこの時が初めてで、それ以降は、パキスタンやバングラデシュ、ミャンマー、モンゴルといった国々も、中国との外相会談などを通じて、日本を名指しこそしないものの、「軍国主義復活の企みに反対」などとする文書を公表している。
さらに8月から9月にかけては、中露が主導し10を超す中央アジア諸国が参加する上海協力機構の首脳会談でも、首脳宣言には中国の主張が反映され、「第2次世界大戦の結末に関する記憶の保存を支持し、歴史の改ざんに対抗する」との文言が盛り込まれた。
これらは日本を見せしめにし、台湾問題で中国(習主席)の逆鱗に触れると大変な目に遭うぞ――ということを諸外国に知らしめる戦術で、“脅迫外交”と言っていいだろう。
露中結託で予想される事態
今後、露中はさらに挑発を強めてくることは確実だ。本稿脱稿前の10月27日、「中国が国連本部で東京裁判80年の写真展開催 日本の防衛力強化を牽制」というニュースが飛び込んできた。
国連では9月、高市首相が国連総会一般討論演説で求めた国連憲章の「旧敵国条項」の削除に対し、中国は「断固とした反対」を表明、「高市政権は日本の歴史的犯罪に目をつぶり、軍事力拡大を隠ぺいしようとしている」と批判していた。
写真展の開催は、中国の主張を国連加盟国に対し視覚的に訴える企みだ。昨年の「抗日戦争勝利80年」に続き、中国は今年、「極東国際軍事裁判(東京裁判)の開廷から80年」を口実に対日批判を繰り返しており、少なくとも同裁判の判決から80年となる2028年まで、東京裁判を使った中国の執拗な歴史戦が続くことを覚悟しなければならない。
ロシアも北方領土では、プーチン氏の上陸に続き、択捉島の周辺海域で地対艦ミサイルの発射訓練を行い、中国代表団の受け入れとほぼ同時に、同島や国後島など北方4島の周辺空域を閉鎖した爆撃訓練を強行している。
前述した中露の駐日大使の共同寄稿に加え、中国外務省は「反ファシスト戦争の成果は適切に尊重し、順守されるべきだ」との報道官談話を公表している。こうして見ると、ロシアの一連の暴挙は、中国の意向に足並みをそろえることが目的だったことは明らかだ。
今後は、「第2次世界大戦の結果、ロシア領となった」という北方領土に対するロシアの主張を支持するように、北方領土を巡ってロシアの国境警備隊と中国海警局の巡視船が、共同で拿捕や臨検などの法執行活動を実施することや、中国軍がロシア軍の演習に参加する事態を想定しておく必要がある。
