21世紀の安全保障論
世界情勢が大きく変容している。米中対立の激化により、「新冷戦」の最前線は日本を含む東アジアに移行し、中東情勢も不安定さを増している。一方、AI兵器の開発やサイバー攻撃など、技術の高度化は急速に進む。激変する世界情勢の中で、21世紀の日本の安全保障政策はどうあるべきか――。第一線の研究者がリレー形式で提示します。

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2023/11/22 辰巳由紀
「イスラエル版9・11」と一部で呼ばれるほどインパクトを与えたハマスによる攻撃にイスラエルが熾烈な反撃を加えたことで始まったこの紛争は、長期化の様相を呈する。再選を目指す米国のバイデン大統領にとっては、外交で足を取られる形が続いている。
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2023/11/01 吉富望
松野博一官房長官が武力攻撃予測事態を想定した沖縄県の離島住民避難に関し、九州で受け入れるための初期的計画を2024年度中に策定すると表明した。住民避難を自治体に委ねてきた政府が重い腰を上げたと言えるが、課題は山積している。
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2023/10/05 辰巳由紀
北朝鮮の金正恩総書記によるロシア訪問は、ワシントンでも大きな話題となった。露朝が接近し続けることは、バイデン政権にとって新しい悩みの種。大統領選挙を控えるバイデン氏にとっては、外交および内政での課題を抱えることとなっている。
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2023/08/10 吉富望
松野官房長官が7月に初めて先島諸島を訪れ、首長と避難シェルターの整備や空港・港湾の整備について協議している。ようやく国が重い腰を上げ始めた訳だが、先島諸島における住民避難のあり方を見つめ直してみたい。
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2023/07/04 勝股秀通
ロシアのウクライナ侵略を目の当たりにし、自衛隊に「継戦能力」がなければ、国民を守れないという危機感が高まった。継戦能力確保には、弱体化した国内の防衛産業を立て直すしかなく、友好国への輸出に道を拓くことができるかが、その試金石となる。
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2023/05/31 勝股秀通
G7サミットで、「核兵器の使用の威嚇、いかなる使用も許されない」と強調された。だがこれは、侵略を続けるロシアへのメッセージであり、日本にとっては、核兵器を保有し、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮へこそが必要だったのではないだろうか。
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2023/05/11 菅野隆
ロシアによる侵略に対するウクライナの兵站を、米国が旧西側諸国と連携して支えてきたが、難しさが見えつつある。これはウクライナや台湾のリスクであり、日本に対する警鐘ともいえる。
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2023/05/06 辰巳由紀
ロシア・ウクライナ戦争に関する情報をはじめとする米国防省の機密文書がSNSに流出しているという報道が出て以来、静かな衝撃がワシントンで広がり続けている。機密情報管理の難しさが増していることを物語っており、日本も対岸の火事ではない。
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2023/05/01 吉富望
中国による台湾侵攻を阻止するためには、中国本土と西太平洋の間に横たわる九州、南西諸島、台湾、フィリピンなどの島嶼への進出を阻止・妨害する態勢を整備する必要がある。それには、日米豪比の連携が強い効果を発揮する。
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2023/04/28 勝股秀通
アフリカ北東部のスーダンでの内紛に対し、日本政府は海賊対処活動の拠点を置くアフリカ東部のジブチに自衛隊機を派遣し、在留邦人58人の退避に成功した。無事で何よりと思うと同時に、今回の退避作戦を検証しながら、在外邦人保護の課題を指摘したい。
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2023/04/18 勝股秀通
海上自衛隊の元1等海佐(懲戒免職)が、安全保障に関わる機密情報「特定秘密」を漏洩したとされる事件は、戦後最悪という現下の厳しい安全保障環境の中で、国防に関する情報の扱い方を見直し、官民問わず情報への感度を高める緊要性を示唆している。
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2023/03/10 勝股秀通
岸田政権が進める反撃力保有への道筋は重要な施策だが、反撃力とは別に抑止力強化の手立ても講じる必要がある。それは台湾有事と尖閣有事を回避するため、予見できる限りの場面を想定した訓練を通じて、自衛隊と米軍の連携を強化するしかない。
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2023/03/03 荒木淳一
中国の軍事情報収集用の気球を米空軍が撃墜した事案を契機に、同様の事案に日本はどう対応するのか、対応できるのか関心が高まった。技術的、法的な観点からの議論も重要ではあるが、国の安全保障へ常に真摯に向き合う重要性を示唆している。
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2023/02/15 勝股秀通
米軍は米東方沖の領海上空で、中国の偵察用とみられる大型気球を撃墜した。中国は「強い不満と抗議」と報復措置を示唆しているが、日本が学ぶべきは、中国の失策をしっかりと見定め、国際世論を味方につけながら自らの主張を実行する行動力だ。
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2023/02/14 吉富望
欧米から120~140両の戦車が供与される。これらの戦車は米英独が誇る高性能の花形戦車であり、これらが侵略されたウクライナ領土の奪回に大きく貢献することを期待したい。しかし、これらの戦車の供与に懸念が無い訳ではない。
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2023/01/23 吉富望
ワシントンで開催された日米安全保障協議委員会(2プラス2)において、沖縄県に駐留する第12海兵連隊を25年までに第12海兵沿岸連隊に改編することが確認された。この改編によって在沖縄米海兵隊は大きく変質する。
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2023/01/23 辰巳由紀
2023年の米国は、外交・内政ともに波乱含みの幕開けとなった。特に動きが加速化しているのが内政状況だろう。下院議長選出時の共和党の迷走、下院共和党による閣僚弾劾、バイデン大統領の機密文書取り扱いに関する疑惑、の三大ネタで大揺れだからだ。
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2022/12/29 部谷直亮
ウクライナ軍によるモスクワ近くを含むロシア領奥地へのドローン戦略攻撃が12月初旬に相次いで成功している。今回の攻撃の深刻さは、ドローン防空が未だ前提ではない日本が同様の攻撃を受けた場合、首都圏の大規模停電を招きかねないという点だ。
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2022/12/26 勝股秀通
防衛力強化に向けた財源問題をめぐって、一部議員や国民から批判が噴出している。戦後の安保政策を転換させる重大事であるにもかかわらず、不協和音が出てくる背景には、国民に向かって心に響く言葉をリーダーが発していないという現実がある。
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2022/11/29 吉富望
年末に策定が予定されている「安保3文書」で、反撃能力の議論がなされている。反撃能力保有ためにミサイルおよび発射プラットフォームなど「ハード」が不可欠だが、「ハード」が揃っていれば効果的な反撃能力を保有していると言えるのだろうか。
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