2026年3月1日(日)

オトナの教養 週末の一冊

2026年3月1日

 投資に熱心に取り組んでいる人でなくてもアメリカの著名投資家ウオーレン・バフェット氏のことを知っている人は多いだろう。2025年12月末に自身が経営する持ち株会社バークシャー・ハザウェイの最高経営責任者(CEO)を退任し、会長にはとどまるものの事実上経営の一線から退いた。圧倒的な実績で投資に成功しているにもかかわらず、質素な生活を旨とし、自身が住むネブラスカ州で「オマハの賢人」と呼ばれて慕われている。

(Daniel Zuchnik/gettyimages)

 その投資手法は世界の投資家が長年注目し、日本でも新NISA(ニーサ=少額投資非課税制度)が3年目に入り、投資に関心を持つ人が若者を含む幅広い年代層に増えるにつれ、バフェット氏の言葉にあらためて関心が高まっている。本書はバフェット氏の考え方をまとめた世界的なベストセラーである。

 いわゆる「バフェット本」は世の中にあまたあるが、本書はその生い立ちから説き起こし、バフェット氏がどのように自身の投資スタイルを作り上げてきたかの過程を記しており、非常にわかりやすい。バフェット氏のCEO退任を機にあらためてその考え方を追ってみた。 

12の原則

 本書の中核となるのは、バフェット氏の投資哲学を紹介した部分である。市場で株式を購入する場合にバフェットが頭に置いている原則は12あるという。

 まず事業に関する原則については(1)シンプルで理解できる事業か(2)安定した事業実績があるか(3)長期的に明るい見通しがあるかの3つを示す。

 次に、経営に関する原則としては(4)経営者は合理的か(5)株主に率直に話せる経営者か(6)同調圧力に屈しない経営者かを見る。

 さらに財務に関する原則については(7)一株当たり利益ではなく、自己資本利益率に着目する(8)本当の価値を示す「オーナー利益」を計算する(9)利益率の高い企業を探す(10)利益を1ドル留保したら、企業の市場価値も1ドルあがるように心がける

 価値に関する原則では(11)事業の価値はどれぐらいか(12)その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か――の以上12点を挙げる。本書はこれらポイントに従って解説を進める。


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