2026年5月15日(金)

日本の農業論にモノ申す

2026年5月15日

 「令和のコメ騒動」から2年あまりが経過し、コメの価格が落ち着きを見せつつある。店頭には、5キログラム(kg)3000円台から一部量販店では2000円台の精米が並び始めている。

(Hakase_/gettyimages・アフロ)

 しかし、これは生産拡大により供給が増えたのではなく、コメの値上がりによる〝コメ離れ〟が起きており、産業として良い方向ではない。集荷業者や流通業者は在庫がだぶつき、高値で仕入れていたものが売れないといった事態にも直面しつつある。

 こうした状況に国は2026年産の政府備蓄米の買入入札により、価格下落に歯止めをかけようとしている。それは、4月から施行された「食料システム法」を活用したもので、これまでコメを大量に買い入れていた全農の影もちらつく。

 コメ業界は、価格という形で国の政策に振り回され続けている。

「コメを食べなくなった」日本人

 コメ需給は今、大幅なゆるみが起きている。新米が出る前の米穀年度6月末時点での在庫は、適正在庫であれば180万トン(t)から200万tとされているが、今年6月末の在庫は270万tを超えると予測されている。

 特に深刻なことは、コメの値上がりによって精米が売れなくなったことで、これは家庭用精米に限らず中食・外食といった業務用米の売れ行きも不振になっている。米穀機構が毎月調査公表しているコメ消費動向によると2025年度(25年4月~26年3月)のコメ消費量は家庭用が前年度に比べ8.2%、外食も0.5%落ち込んでいる。あまりにもコメの価格が高くなり過ぎたことによって家庭用は8.2%も落ち込んでしまったのである。

 もっと衝撃的なデータもある。それは民間調査会社が一般消費者にコメの価格が値上がりしたことによって変化したことという問いに対して9%の人が「コメを食べなくなった」と回答したことである。

 1993年の大凶作の後、コメの価格が急騰し、その後一気にコメ消費減が鮮明になったが、令和のコメ騒動でも同じことが起きている。コメが売れなくなったことから集荷業者や流通業者も在庫が減らず、集荷業者の中には手持ちの玄米を換金できないことから資金繰りに窮しているところもある。


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