2025年12月5日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2025年10月3日

 「令和の米騒動」の中、2025年の新米が出回りはじめているものの、コメの価格高騰はおさまらない。JA阿蘇(熊本県)の原山寅雄組合長が9月9日の新米出荷記念式典で、25年産コシヒカリの生産者概算金を1俵(60キロ)当たり3000円引き上げて3万3240円すると発表した。

 JA阿蘇はいち早く概算金3万円を提示し、小泉進次郎農林水産相が食糧部会で取り上げ、全国的に知られるようになっていた。その農協が概算金を大幅に上げ、値上げ競争の先陣を切る形となったのである。

(kudou/takasuu/gettyimages)

 全国の主要なコメ産地では農協系統が昨年産よりも大幅に高い概算金を生産者に提示して、大方が1俵3万円を超えている。農協系統の大幅な概算金引き上げが新米価格の高騰の一因になっており、スーパー等での店頭価格は5キロ4000円を超える価格で販売が始まった。

 コメの価格は高止まりの状態で、消費者が負担を強いられることがメディアなどでも伝えられている。しかし、さらに深刻な影響を受けているのはコメを主原料としているコメ加工食品業界である。中でも国産米使用を謳っている焼酎業界は厳しい現実に直面している。

もう「国産100%」を標ぼうできない

 熊本県人吉市・球磨郡はコメ焼酎「球磨焼酎」の里である。500年前に製造が始まった球磨焼酎は1995年に国税庁による酒類の地理的表示(GI表示〈Geographical Indication〉)に登録された。

 その要件は、原料について①原材料の穀類として国内産米のみを用いる②国内産米から製造された麹のみを用いる③球磨郡または人吉市で採水した水のみを用いる――という3つである。

 国産米を原料としなければ球磨焼酎と名乗れず、GI表示も謳えない。このことが今、球磨焼酎業界で大きな問題になっている。それは国産米の価格が従来の2倍以上に高騰、入手難になっているのだ。


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