2025年6月17日(火)

お花畑の農業論にモノ申す

2025年5月30日

 コメの価格上昇が止まらない。新しく農林水産大臣に就任した小泉進次郎氏が備蓄米の放出を「競争入札」から「随意契約」に切り替え、小売価格「5キロ2000円」を目標とする売渡価格を講じたが、その効果は未知数だ。

日本のコメが消費者からどんどん離れている( sigemin/gettyimages)

 コメ不足と流通の混乱で最も懸念されることの一つは「消費者の国産米離れ」だろう。なにせ1キログラム(㎏)当たり341円という高額な関税を支払っても外国産米を輸入してビジネスが成立するという土壌を生んでしまったのだから、国内のコメ生産者から見れば自らの顧客を外国産米に奪われたということを意味している。

 ディスカウントスーパーだけでなく、著名な大手量販店でも堂々と外国産米が売り棚に並んでいるのだから今や外国産米は珍しいコメではなくなってしまった。外食業界でも外国産米の使用は大手外食企業ばかりでなく、中小の外食店や中食業界にも急激に広がっている。

 それは、清酒や焼酎、米菓、味噌、穀粉、和菓子といった日本の伝統的なコメ加工食品業界でも起きている。外国産米を使えるところは一定量を関税ゼロで義務的に受け入れるミニマム・アクセス(MA)枠で輸入された外国産米を急速に増やしている。

 コメ生産者は、国内の主食用米があまりにも高くなり過ぎた結果、2025年産米で加工原料米から主食用米へと生産をシフトしている実態が明らかになっており、米菓や味噌といったコメ加工食品業界は原料米の入手難への危機感を抱いている。


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