コメ不足によるコメの価格高騰が続く中、有害なカドミウムの基準値を超えたコメが流通したとして、秋田県小坂町の農業組合法人が生産した「あきたこまち」の自主回収が行われている。検出された数値は高いもので基準値の2倍超だが、実は2010年以前の基準値ならば違反とならなかった数値で、当時なら問題なく食べていた。
食品衛生法では有害物質の基準値超の食品は、回収・廃棄などの対応が求められる。15年前なら食べられたコメが回収・廃棄されるのはもったいない気もするが……。
買い取りに1億円超
カドミウムは土壌や水など環境中に広く存在し、コメや野菜、肉、魚など多くの食品に含まれている。コメを主食とする日本人はカドミウムをコメから摂取する割合が最も多く、1日摂取量の4割はコメから摂取していると推定されている。
コメに含まれるカドミウムの基準値は0.4ppm。自主回収が進められているコメのカドミウム値は0.47~0.87ppmで、基準値の2倍超のものもあったという。
ただ、0.4ppmという基準値が設定されたのは2010年4月。それ以前の基準値は1.0ppmで、今回違反となったコメで最も濃度が高い0.87ppmでも2010年以前なら問題がなかったことになる。もちろん、だから流通させていいというわけではないが、「基準値超=危険」ではないことは理解する必要がある。
鉱山が多かった秋田県は、そこから流れ出たカドミウムが土壌に含まれていることがある。カドミウム汚染の高い地域では、カドミウムを吸収しないための対策がとられている。
対策をとっても基準値を超えるコメができることがあり、秋田県は基準値超過米が市場に出回らないように出荷前に検査をして買い取っている。その金額は年間1億数千万円にのぼる。