放射性物質に厳しい日本
食品に含まれる有害物質で、日本が他の国に比べ飛びぬけて厳しい基準値の設定をしているのが放射性物質(主にセシウム134・137など)だ。一般食品を例にとれば、日本の基準値は1キログラム(㎏)当たり100ベクレルだが、米国は同1200ベクレル、EUは同1250ベクレル、中国は同1000ベクレルで、欧米と中国は日本の10倍以上緩い。
日本の厳しい数値は2011年の福島第1原発事故後に独自に強化したことによる。当時から「そこまで厳しくする必要はないのでは」との意見もあったが、国民の「安心」のため、事故後の暫定基準値や事故以前の基準値(同370ベクレル)よりさらに厳しい数値を基準値とし、見直されないまま今日に至っている。
この日本の厳しい基準値によって、ヨーロッパから輸入されたジャムなどが違反となり、度々廃棄処分となっている。もちろん輸出した国では問題のない数値だ。
廃棄は妥当?
基準値だけでなく、基準値超の食品の取り扱いも国によって異なる。日本では基準を超えた食品は回収・廃棄が一般的だが、ヨーロッパでは検出された濃度について健康影響評価を行い、問題がなければ廃棄せず、普通に市場で売られるという。
世界を見渡せば、飢餓や深刻な栄養不良により、1年に約900万人が死亡していると推測されている。食品ロス削減は日本でも喫緊の課題であるだけに、健康影響評価を行い問題がない食品は廃棄せずに活用することを考えてもいいのではないだろうか。