2026年4月23日(木)

医療神話の終焉―メンタルクリニックの現場から

2026年4月23日

 昨年からメンタルクリニックの休職診断書ビジネスに言及しているが、今回は社員・患者の目線から述べる。

(Michael H/gettyimages)

 人は、甘い言葉に弱い。「給与の3分の2もらえます」、「安心です」、「もう大丈夫です」、「心配はいりません」、「ゆっくり休みましょう」。こうたたみ来られると、ついその気になってしまう。

 まして、その言葉を発するのが医師という社会的信用がおけそうな人物だと、信じてしまう。「まさか、だますはずがない」、そう思う。

 しかし、信じる者は救われない。後で後悔することにもなる。

 「給与の3分の2をもらえた。でも、直後に目減りした。全然安心じゃなかった」。そう痛感することになり得る。

 医師には、だます意図はない。一応、情報としては正しく語っている。その言葉は、「傷病手当金は標準報酬日額の3分の2」という規定に照らして間違っていない。しかし、事実を伝え尽くしているとは言えない。そもそも医師は、ファイナンスのプロではないので事情を正確に把握していない。

 事情とは、「“もらえる”と“使える”はイコールではない」ということである。もちろん、給与だって可処分所得とイコールではない。しかし、この事実は、天引きされていたころには、さほど気にならなかった。

 傷病手当金については、そこから何も天引きされない。そのかわりに請求される。請求され、やむを得ず支払うと、その時に初めて、「3分の2もらえるから安心」を額面通りに受け取ってはいけなかったことに気づく。

 すでに、メンタル不調を理由に長期にわたって休職し、傷病手当金を最大期間受給してしまった人の多くは後悔している。「最大期間受給した」ということは、「最大期間にわたり3分の2から様々な支払いをしてきた」という意味である。

 この小文は、「仕事がつらくて、メンタルクリニックから診断書をもらって、これから長期の休職に入りたい」と思っている人に、ぜひお読みいただきたい。


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