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2024/12/16 井原 裕
精神科医の筆者のもとに、いじめ防止対策推進法に言及した診断書を求めて、各地から外来が訪れる。法律家ではない医師による診断書一枚が状況を変えるためであり、この事実は学校という組織の闇に慄然とせざるを得ない。
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2024/11/21 井原 裕
弁護士は最高スペックの頭脳の持ち主であり、法の論理を展開できる。ただし、これはコンディションがいい場合である。頭に霧がかかったような「ブレイン・フォグ」となれば、論理は頓挫する。ひどい場合、数日、数週間、このような状態に陥ってしまう。
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2024/10/16 井原 裕
孤独死は、ことさらにその悲劇性が強調される。多くの場合、周囲に誰もいない淋しい最期として報道され、現代社会の闇のように扱われる。ただ、忘れてはいけない。孤独死することができる人は、死の直前まで自立していた人だけという事実である。
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2024/09/17 井原 裕
コロナ後遺症の患者は、精神的に打ちひしがれている。倦怠感が強く、思考力・集中力を奪われ、絶望的な気持ちでいる。そもそも人に理解されていない。医師たちも腰の引けた対応である。
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2024/08/14 井原 裕
パリ五輪で日本人選手は多くのメダルを獲得し、躍進した。そのアスリートたちの言葉に注目が集まるが、試合の前は競技に専念したい。試合の後は、休んで、眠って、次の競技に備えたい。試合の前と後のインタビューは負担でしかない。
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2024/07/26 井原 裕
京都アニメーションのスタジオを放火し、36人が死亡、32人が重軽傷を負った事件で、京都地裁は被告に死刑を言い渡した。国民感情からすればもっともな判決であろうが、精神鑑定医の立場からすれば、精神鑑定と司法の溝を感じるものだ。
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2024/06/17 井原 裕
おとなになった知的障害者の親御さんたちの苦悩は、周囲に理解されにくい。最も親御さんを悩ませるのが、強度行動障害と呼ばれるものである。独力での対応は難しく、医師に頼むことになる。何が必要なのか。
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2024/05/16 井原 裕
「うつの8割に薬は無意味」と言われると驚くかもしれないが、うつの諸症状が「ほとんど1日中、ほとんど毎日」出現する人でもそのような研究結果が出ている。精神科医が減薬・断薬の進め方を解説する。
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2024/05/14 井原 裕
「職場のうつ」は、診察室で起きているのではない。職場で起きているのである。したがって、診察室で「治療」と称するごまかしを試みても、何の解決にもならない。
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2024/04/17 井原 裕
いじめ防止対策推進法は、実によくできている。眠らせておくには惜しい。いじめの防止に関わるすべての職種が、その目的のために使えばいい。児童・生徒とその親御さんにおかれては、精神科医をもっと使ってほしい。「法と医者は使いよう」だ。
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2024/03/13 井原 裕
パイロットには、心身不調者は一人もいないとされる。ただ、実際には、パイロットには数えきれないほどの健康リスクがある。元来が頑健な人間であったとしても、早かれ遅かれ健康はむしばまれる。大谷翔平に匹敵する自己管理が必要となる。
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2024/02/13 井原 裕
霞が関官僚のメンタルヘルスについて、ひとこと、精神科医の立場から言い訳を申したい。精神科は元来、「精神障害者」御用達であった。一方、霞ヶ関の官僚は、いかなる意味でも「精神障害者」ではない。ここにミスマッチの原因がある。
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2024/01/16 井原 裕
航空管制官については、1月2日に起きた羽田空港の滑走路で日本航空機と海上保安庁機が衝突した事故で注目されることになった。その内実が知られた仕事とはいえないであろう。その実態と、健康管理の難しさを解説したい。
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2023/12/07 井原 裕
2023年は、旧ジャニーズ事務所、宝塚歌劇団、楽天ゴールデンイーグルスなど、ハラスメント、過重労働、いじめを巡る事件が相次いだ。これらの事件は、精神科医・産業医である立場からすれば、深く考えさせられるものがある。
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2023/11/07 井原 裕
いじめや学校になじめず不登校となるなど、子どもたちの悩みが耐えないが、その時の目標は再登校に限らない。本来、教育とは遍歴の経験を重ねる旅である。新しい環境に身を置くこと、新しい経験を積むこと、新しい人間関係に飛び込むことを推奨する。
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2023/10/05 井原 裕
霞ヶ関の若手官僚が世間で伝えられているような激務が強いられているとすれば、次々に殉職者が出て不思議はない。若手官僚に申し上げたい。「こんな生活を続けていると、死にますよ。早めに医師に相談してほしい」と。
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2023/08/31 井原 裕
9月1日は、児童思春期のこころの健康に関わる者にとっては、自殺が増える要注意の日。学校へ行くことがプレッシャーになっている。ここで言いたいのは、行きたくなければ、行かなければいい、学ぶ場は他にいくらでもあるということだ。
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2023/08/16 井原 裕
「職場のうつ」は、診察室で起きているのではない。職場で起きているのである。したがって、診察室で「治療」と称するごまかしを試みても、何の解決にもならない。
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2023/07/09 井原 裕
現在、メンタル不調により休職中の人は、「休職とは復職を前提とした解雇猶予」であると聞いたら、おちおち休んでいられない気分になろう。実は、会社はそう考えている。
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2023/06/13 井原 裕
ChatGPTをはじめとする生成AIの発達により「人間の仕事を代替する」とも言われている。医師もその一つで、「AIに精神科医の仕事が奪われる」ことはあるのだろうか?
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