2025年1月15日(水)

医療神話の終焉―メンタルクリニックの現場から

2025年1月15日

 「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」(ジョン・アクトン)

 これは、「自戒をこめて」の発言である。筆者もまた、主権者のひとりとして、1億分の1の責任を担う。

 英国の歴史家ジョン・アクトンは、「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」と述べた。日本の主権者は国民である。国民が権力の主体である。

 ということは、国民という権力もまた、腐敗しないものだろうか。国民が絶対的権力を担うようになれば、この絶対的権力もまた、絶対に腐敗するのではあるまいか。

集団精神病理現象としてのオンライン署名活動

 2024年に発生した悠仁さま東京大学進学反対オンライン署名活動は、仄聞するところによれば、1万2000筆の署名を集めたとされる。しかし、これは、悠仁さまが学校推薦型選抜を利用して東大入学を目指すとの憶測に基づいて行われたものであった。

悠仁さま東京大学進学反対オンライン署名活動は、一種の集団精神病理現象とも言える(産経新聞社)

 そこに根拠はない。これは、一種の集団精神病理現象である。群集心理というものがいかに危険か。それは、扇動によって、一過性の熱狂が発生し、集団の圧力をもって心理的公開処刑を行い、ひとりの人間の尊厳を踏みにじる。

 かつて、スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットは、ポピュリズムのはらむ衝動性と情緒的判断のリスクを指摘した(『大衆の反逆』)。この予言は、100年の歳月を経て、極東の島国で正確に的中したようにみえる。


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