日本で水産業は典型的な斜陽産業である。農林水産省の「漁業構造動態調査」によると、1960年代初頭に約70万人だった漁業就業者は右肩下がりを続け、2024年には11万4820人にまで減少した。「漁業・養殖業生産統計」によると、漁業・養殖業生産量は1984年の1280万トンをピークに2024年は363万4800トンにまで減少している。
なぜ魚が減っているのか。もちろん温暖化などの環境要因もあるだろうが、資源管理が失敗したからという要因を挙げざるを得ない。水産研究・教育機構による「令和7年度わが国周辺の水産資源の評価」によると、MSY(「最大持続生産量(Maximum Sustainable Yield)」の略語)という資源管理概念に基づいて資源評価が行われている22種40資源のうち、資源量も漁獲の強さも共に適切な状態にあるものは4割にとどまる。残りの6割は、資源量と漁獲の強さのいずれか、あるいはその双方の点で「乱獲」と定義される状態にある。
漁業者と資源の減少および乱獲に歯止めをかけること。このため、2018年12月に漁業法が改正、20年に施行され、MSYに基づく科学的資源管理が本格的に導入された。それから5年が経過した25年末、水産予算を含む26年度予算が閣議決定した。衆院選で大勝した高市早苗首相は年度内での成立に意欲を見せている。
26年度の水産予算と資源管理
今回の予算で注目される点の一つとしては、資源管理予算の一定程度の増額が挙げられる。
漁業法改正に伴い、18年度は2327億円であった水産予算は19年度には3044億円と大幅に積み増され、以降3000億円台の予算が組まれている(数字はいずれも前年度補正予算を含む)。ところが資源評価・調査の充実に関する予算は46億円から70億円に微増、22年度は108億円に達したものの、23年には73億円と減額、頭打ちの状態が続いていた。
26年度予算案では、「資源調査・評価の推進及び管理体制の構築」の予算は概算要求が86億円であったところ、閣議決定された予算案では前年度補正を含め89億円と、概算要求を上回る予算が充当された。
水産庁から委託を受けて資源評価を行う水産研究・教育機構の運営交付金も、25年度の169億円から180億円へと11億円増額されている。同機構は日々の運営費にも窮しており、建物を直すことすらできなくなっている。26年度の交付金が不足すれば、研究者の削減につながりかねない。今回の交付金の増額は同機構のインフラを支えるうえでぎりぎりの歯止めと言えるのかもしれない。
