2026年5月7日(木)

プーチンのロシア

2026年5月7日

 2026年は、4年に一度の国際サッカー連盟(FIFA)によるワールドカップが開催される年である。前回が22年カタール大会、前々回が18年ロシア大会だった。

 8年前のロシア大会のことを思い起こしてみると、事前には不穏な空気が漂っていた。ロシアと欧米の政治対立や、ロシア・スポーツ界のドーピング問題が物議を醸し、「ロシアから開催権を剥奪すべきだ」といった声も(特に大会招致でロシアに敗れたイングランドあたりから)出ていた。

2018FIFAワールドカップ・ロシア大会のマスコット「ザビワカ」は、オオカミをモチーフにしていた

 それでも、大会は18年6月14日から7月15日にかけて無事開催され、成功を収めた。12会場すべてが最新鋭のサッカー専用スタジアムであり、試合の臨場感を見事に演出していた。また、外国人観客からの評価が高く、この国のイメージを(この時点では)大幅に改善したのが、ロシア国民のホスピタリティ、とりわけ公式的なボランティアの活躍であった。

 そして、地元ロシア代表チームの躍進も、大会を盛り上げるのに一役買った。事前には、「FIFAランキングが出場国の中で最下位」とか、「史上最弱の開催国」などと揶揄され、国民の関心や期待も高いとは言えなかった。ところが、蓋を開けてみると、ロシア代表はベスト8に食い込む大健闘を見せたのである。ロシア代表が快進撃を続けるにつれ、国民の熱気も上昇していった。

 ロシア大会に関し、筆者が強く思うのは、あれが最後のクラッシックなワールドカップだったのではないか、ということである。適度な規模感の国に、開催都市が点在する。観客はそれらの間を移動しながら、サッカーを楽しみ、開催国の多様な文化にも触れる。ロシアの国土自体は巨大だが、ワールドカップはロシアの欧州部でのみ開催されたので、地理的な一体性は保たれていた。

 これが、22年カタール大会となると、いかんせん国が狭すぎた。逆に今年の北中米大会、次回のスペイン・ポルトガル・モロッコ大会は地理的に拡散しすぎて、1つの国の魅力をじっくり知るというイベントにはならないだろう。

 今後は参加チーム数も増えるので、その意味でも散漫な大会になっていきそうである。筆者がロシア大会を「最後の古き良きワールドカップ」と考える所以である。

 このように、素晴らしい大会として記憶される18年のロシア大会だが、最後の最後に波乱もあった。フランスとクロアチアの決勝戦で、プーチン政権に異を唱えるパンクバンド「プッシーライオット」のメンバーがピッチ内に乱入し、白熱の試合に水を差したのである。政治的主張は理解できるにしても、1点差を追いかけるクロアチアがリズムを掴みかけた時間帯だっただけに、サッカーファン目線では許しがたい暴挙であった。


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