アメリカ、メキシコ、カナダの3カ国で開催される2026年のサッカー北中米ワールドカップ(W杯)は、出場国数が従来の32から48へと拡大され、多くの国が参加するチャンスがある世界大会として、位置付けを大きく変えた。その象徴が、史上最少国のキュラソーであり、アフリカのリゾートアイランドであるカーボベルデの躍進である。勢力図の大きな変動を示す。
突出した一強がいない
48カ国に拡大した今大会でも”常連国”は、依然として大会の中心軸を形成している。南米ではブラジルが唯一すべての大会に出場し続ける国であり、有力な優勝候補の1つであることに変わらない。前回王者のアルゼンチンもまた、長期的な安定性を維持している。
常連国でも、毎回のように優勝候補として名前が挙がるサッカー大国は”列強”と呼ばれる。それらの国は単なるタレントの豊富さだけでは説明しきれない。
長期的に整備された育成システム、国内リーグの高い競争力、代表チームにおける戦術的継続性、さらには国際大会で積み重ねてきた経験値が複合的に作用している。世界最高リーグであるプレミアリーグの母体となるイングランドは、アーセナルやリバプールなど強豪クラブの主力を外国人選手が占める傾向にあるが、厳しいポジション争いを勝ち抜いた選手たちが、イングランド代表の主力を形成しているのだ。
今大会で優勝候補の筆頭と目されるスペインも、似たような構図がある。特にレアル・マドリーと並ぶスペインの二大クラブであるバルセロナは、ペドリら主力の一角をスペイン人が担っており、そのまま「ラ・ロハ」の愛称で知られるスペイン代表に生かせるのは1つのメリットだ。スペインはポゼッションサッカーを伝統とするが、近年は再び進化を遂げ、ボール保持による試合支配に加えて、トランジションの速さ、守備時のコンパクトさといった現代サッカーの潮流にも見事に適応している。
この完成度の高さは、大手ブックメーカーの評価にも明確に表れている。一番人気のスペインは5倍から6倍。それをイングランドとフランスが7倍前後で追う。
前回王者のアルゼンチンと過去5回の優勝を誇るブラジルが10倍前後。世界的なストライカーであるクリスティアーノ・ロナウドを要するポルトガルも、ほぼ差がなく続き、優勝経験のない国ではその仲間入りを果たすことが最も期待される国と言える。
このオッズ構成が示唆するのは、現代サッカーにおいて突出した一強が存在しないという事実である。上記の優勝候補に加え、前回グループリーグ敗退からの復活を目指すドイツ、さらに戦力上位のベルギーとオランダを含む列強が覇権を争う。
その背後から前回3位のクロアチアや、4位に躍進し世界を驚かせたモロッコ、森保一監督が二期目となる日本などが続く。その有力国に挙げられるのが“北欧の雄”ノルウェーだが、今回が7大会ぶりの本大会であり、第二グループの中でも異色の存在だ。
