2026年5月5日(火)

勝負の分かれ目

2026年5月5日

 今回の3カ国共催に話を戻すと、リスク分散と市場拡大という二つの側面を併せ持つ。単独開催に比べて負担を分散しつつ、アメリカの経済力、メキシコのサッカー文化、カナダの成長市場としての潜在力を組み合わせることで、大会全体の価値を最大化する狙いがある。規模が大幅に拡大し、単独開催が難しくなってきている中で、共催は招致のプレゼンテーションにおいても有効なアピールポイントになっていることは確かだ。

 開催国の競技面での期待も高い。94年W杯から8大会ぶりの自国開催となるアメリカは”サッカー不毛の地”と呼ばれた時期もあったが、この30年で大きく改革され、プロリーグであるメジャーリーグ・サッカー(MLS)の発展をベースに、育成年代からの掘り起こしによってタレント力を高めてきた。若手選手の欧州進出はさらに個の能力を高め、代表チーム全体の底上げに成功している。

 メキシコは安定した戦績と豊富な大会経験を持ち、カナダも新世代の台頭によって着実に競争力を高めている。開催国がどこまで勝ち上がるかは、大会全体の盛り上がりを左右する重要な要素となる。

世界サッカーの転換点ともなり得る大会

 改めて48カ国の勢力図を整理すると、スペインやイングランドなど、抽選会でポット1に入った”列強”と呼ばれる優勝候補の国があり、そこに前回3位のクロアチア、4位のモロッコ、大注目のノルウェーなど二番手グループが続く。日本もその1つで、優勝オッズはアジア勢で最高となる100倍前後。確率にすると1〜2%と見積もられる。一見して低評価に映るかもしれないが、0.5%にも満たなかった前回から大きく上昇しており、夢物語とも言えないレベルまで来ていることは確かだ。

 総じて48カ国体制のワールドカップは、従来のヒエラルキーを維持しつつ、それを相対化する大会となる。常連国の安定感、復帰組の台頭、初出場国の多様性、そして出場を逃した強豪の存在。それらが複雑に絡み合うことで、大会はこれまで以上に多層的で予測困難なものへと変化していく。

 26年大会は単なる規模拡大ではない。世界サッカーの現在地と未来を映し出す転換点であり、新たな勢力図が描かれる舞台である。

 優勝候補から初出場の小国まで、それぞれの立ち位置で目標を設定しながら、一つひとつが決戦となる大舞台に挑んでいく。そこからスポーツ大会ならではの筋書きのないドラマは生まれていくのだ。

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