2026年4月5日(日)

各駅短歌

2026年4月5日

 「駅」というテーマでたくさんの面白い作品をいただきました。通勤や通学で利用する最寄りの駅、多くの人々が行き交う巨大なターミナル駅、旅先で一度だけ立ち寄った駅、そして故郷の無人駅。駅は無数の思い出の集積地かもしれない。その場所でいつか誰かが感じた喜びや悲しみのことを想像すると、あまりの膨大さにくらくらしてしまいます。

(イラストレーション・マグマジャイアンツ)
おろしたての靴から未来が匂いたつ春から僕らは違う改札  武田まゆ

 駅は運命の分岐点でもある。「おろしたての靴」で向かうそれぞれの駅のそれぞれの改札、その先に、それぞれの未来が待っている。

ぎりぎりで間に合わなかったホームにて広告を見てる火照ったからだ  江藤友亮

 広告を見たくて見ているわけではないだろう。ぎりぎりで電車に間に合わなかった時の恥ずかしいような落ち着かないような気分。思わず泳がせた目の先に、たまたま広告があったんじゃないか。「火照ったからだ」の臨場感もいい。

品川のSoup Stock Tokyoで終電までの3分泣いた  安達萌菓

 〈私〉にいったい何があったのか。それにしても、3分とは泣くにはあまりにも短すぎる。でも、仕方ない。終電を逃すわけにはいかないから。そのぎりぎり感がリアル。同じ作者の「東横の渋谷ホームでサヨナラができない2人みんなで避ける」もよかった。「2人はモーゼのようでした」との作者コメントあり。人波を真っ二つに割って見つめ合う恋人たちが目に浮かぶ。

ゆるキャラがいない時代のゆるキャラの石像が立つ駅前広場  穐山やよい

 「ゆるキャラという概念がまだなかった頃のご当地キャラの石像が、地元の駅にあります」との作者コメントあり。自分がゆるキャラだとは知らないゆるキャラを、私もどこかで見かけた覚えがある。駅前広場の石像というのも妙に納得。

永久に幸福な町永福町 夕陽まみれで帰る人々  十猪

 「改札内の西側に大きなガラス窓があって、夕陽がとてもキレイです」との作者コメントあり。「永久に幸福な町」と「夕陽まみれ」の組み合わせが独特の情感を生んでいる。

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Wedge 2026年4月号より
縮む地方 膨らむ東京 日本の縮充化こうすれば実現できる
縮む地方 膨らむ東京 日本の縮充化こうすれば実現できる

「日本列島を、強く豊かに。」を掲げ、先の衆院選で高市早苗首相率いる自民党は圧勝した。信任を得たからにはその実現に向け、全力を挙げるべきであることは論を俟たない。一方で、見過ごしてはならないことがある。東京を筆頭に都市は膨らみ続ける一方で、地方では縮小が先行している現実だ。日本には、実に「多様」な地方があり、そこにしかない「営み」がある。その価値の上に、この国家が成り立っていることを忘れるべきではない。歴史的転換点にある中、「豊かさとは何か」を再定義し、「縮小」しながらも「充実」させる〝縮充化〟の実現に向けて新たな一歩を踏み出す時だ。


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