「駅」というテーマでたくさんの面白い作品をいただきました。通勤や通学で利用する最寄りの駅、多くの人々が行き交う巨大なターミナル駅、旅先で一度だけ立ち寄った駅、そして故郷の無人駅。駅は無数の思い出の集積地かもしれない。その場所でいつか誰かが感じた喜びや悲しみのことを想像すると、あまりの膨大さにくらくらしてしまいます。
駅は運命の分岐点でもある。「おろしたての靴」で向かうそれぞれの駅のそれぞれの改札、その先に、それぞれの未来が待っている。
広告を見たくて見ているわけではないだろう。ぎりぎりで電車に間に合わなかった時の恥ずかしいような落ち着かないような気分。思わず泳がせた目の先に、たまたま広告があったんじゃないか。「火照ったからだ」の臨場感もいい。
〈私〉にいったい何があったのか。それにしても、3分とは泣くにはあまりにも短すぎる。でも、仕方ない。終電を逃すわけにはいかないから。そのぎりぎり感がリアル。同じ作者の「東横の渋谷ホームでサヨナラができない2人みんなで避ける」もよかった。「2人はモーゼのようでした」との作者コメントあり。人波を真っ二つに割って見つめ合う恋人たちが目に浮かぶ。
「ゆるキャラという概念がまだなかった頃のご当地キャラの石像が、地元の駅にあります」との作者コメントあり。自分がゆるキャラだとは知らないゆるキャラを、私もどこかで見かけた覚えがある。駅前広場の石像というのも妙に納得。
「改札内の西側に大きなガラス窓があって、夕陽がとてもキレイです」との作者コメントあり。「永久に幸福な町」と「夕陽まみれ」の組み合わせが独特の情感を生んでいる。
