2026年6月4日(木)

教養としての中東情勢

2026年6月4日

 米国のトランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相を6月1日の電話会談で口を極めて罵倒した。「2人の蜜月関係の終わりの始まり」というのが大方の見方だが、あらためてトランプ氏の身勝手さも浮き彫りに。

(ロイター/アフロ)

 首相は大統領の怒りを受けてレバノンの武装組織ヒズボラ攻撃を停止したが、国内では「米国の家来」などとの非難が続出。今秋の総選挙を前に窮地に追い込まれた格好だ。

「皆がお前を憎んでいる」

 それにしてもトランプ大統領の首相に対する物言いは相当ひどかったようだ。米ニュースサイト、アクシオスなどが伝えるところによると、大統領は首相を「ファッキング・クレージー(完全に狂っている)」「何てことしやがるんだ」などと罵倒し、一方的に怒鳴りまくった。

 大統領はさらに「私がいなければ、お前は刑務所に入っていた。私が救ったんだ」「いまや皆がお前を憎んでいる。このせいで皆がイスラエルのことも憎んでいる」と言い募った。

 首相は確かに汚職などで起訴された刑事被告人だが、一国の指導者を相手にここまで傍若無人ぶりの振る舞いを見せるのは常軌を逸している。自分の方が地位も名誉も上だとの驕りが見える。

 大統領が我を忘れて怒り心頭に発したのは首相が命じたレバノンの首都ベイルートのヒズボラ拠点への空爆だ。イラン戦争の終戦協議ではイラン側がレバノンを含むすべての戦線での戦闘停止を要求しており、交渉は佳境に入っている。イスラエルのレバノン攻撃のエスカレートが土壇場の協議をつぶそうとする試みだ、と大統領が感じたためだろう。

 イスラエルにとってヒズボラとの戦闘は国家の安全保障の要で、イラン戦争の協議とは切り離したいところ。だが、トランプ氏がイランとの終戦協議を始め、ネタニヤフ氏には不満がたまっていた。


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