2026年5月22日(金)

トランプ2.0

2026年5月22日

 米国による対イラン攻撃は、核施設安全管理をめぐる合意に向けた両国間の協議前進の最中に強行されたことが、このほど「国際原子力機関」(IAEA)の重要文書で改めて明らかになった。唐突な攻撃の目的、タイミングなど、謎は深まるばかりだ。

(AP/アフロ)

調停努力がとん挫

 米国のトランプ大統領は、対イラン戦争に踏み切った最大理由として、イランの核開発に関し「米国にとって国家安全保障上の脅威切迫のため」と説明してきた。

 ところが、IAEAがこのほど公表した重要内部文書は、そのイランについて「2025年12月時点で、核燃料再処理に向けた活動は現地査察の結果、見られない」とした上、今年2月28日の対イラン攻撃の直前まで、ラファエル・グロッシIAEA事務局長の仲介で、安全措置などについて米・イラン両国間の協議が進展中だったことも明らかにした。

 そして同文書は「今後、この交渉が合意に向け一層前進することで、核関連施設の所在地、濃縮ウランのレベル、化学物質の分析内容など、イラン側による安全管理措置の徹底にポジティブなインパクトをもたらすことになるだろう」として、楽観的見通しを述べていた。

 このことは、トランプ大統領が攻撃作戦開始の理由として挙げた「切迫したイランの脅威」とは裏腹に、それまでは、核拡散防止に向けて両国間の理解が深まりつつあったことを示している。

 しかし、米軍とイスラエルが突如、核関連施設を含むイラン国内の施設に大規模攻撃を仕掛けたため、イラン側が態度を硬化させ、その後、米イラン両国の戦争終結に向けた交渉にも暗雲を投げかける結果となった。

 IAEAによる「イスラム共和国イランとの核拡散防止条約(NPT)安全管理合意」と題する報告書(26年2月27日付け)は当初、国連安全保障理事会の討議資料用に「内部文書」として作成されていたが、対イラン攻撃直後の3月4日、一般公開された。

 公開のタイミングからみても、米イラン両国間の緊張緩和の実現に向け前進しつつあった調停努力が、対イラン攻撃でとん挫したことに対するIAEA側の憤りと抗議の意思表示の可能性がある。


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