2026年5月22日(金)

トランプ2.0

2026年5月22日

 しかし(米・イスラエルの対イラン攻撃以来)、IAEAとしては、宣告された4カ所の濃縮ウラン施設への立ち入りと検証ができなくなっているため、イラン側がウラン濃縮の活動を一時停止しているかも含め、関連情報を提供できないまま今日に至っている」

 対照的に北朝鮮の場合は、09年以来今日に至るまで、一貫してIAEAによる現地査察を拒否し続けているため、実態はまったくつかめず、海外メディアによる厳しい報道にもさらされることなく、着々と核爆弾の増産に乗り出してきた。

全く触れないトランプ

 しかし、トランプ大統領は1期目に、金正恩北朝鮮総書記との3回にわたる首脳会談に臨んだものの、当時の米側発表によると、「朝鮮半島の平和実現に向けた協力」について双方が確認したが、北朝鮮の具体的「非核化」については、何ら前進はなかった。

 大統領は2期目に入り、25年8月にも、韓国の李在明大統領とホワイトハウスで会談した際、報道陣に北朝鮮訪問の可能性を聞かれ、「具体的に明言するのは難しいが、今年会いたい。北朝鮮は大きな可能性を秘めた国だ」などとして、対話への意欲を示したが、深刻化しつつある核の脅威については何ら触れなかった。

 今月14日には、北京に乗り込み、習近平中国国家主席との米中首脳会談に臨んだ。しかしここでも、議題は対イラン戦争、台湾情勢、二国間通商問題に絞られ、北朝鮮の「核の脅威」についてはまったく話題に上らなかった。

 ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約再検討会議においても、米側の代表であるクリストファー・ヨー国務省軍縮局長が先月29日、演説を行ったが、批判の矛先はイランの核問題に向けられ、確実に増大しつつある北朝鮮の核問題にはほとんど言及がなかった。米側は最低でも、現地査察容認を北朝鮮に迫るべきだったはずだ。

 そもそも、「太平洋国家」を自認する米国にとって、すでに核兵器を保有し、増産体制にある北朝鮮と、将来的に核保有の可能性は否定できないもののいまだ製造体制になく、距離的にも北朝鮮よりはるかに遠いイランを比較した場合、どちらがより深刻な脅威かは、言うまでもないだろう。

 トランプ政権が、「核の脅威」を重視して強行した対イラン米軍作戦のタイミングと真意の謎はいまだ解けていない。

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