2026年4月23日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月23日

 Economist誌4月4日号が、欧州の北部周辺部におけるロシアと中国の行動に加えてトランプ大統領の非友好的な態度がアイスランドとノルウェーにおいて欧州連合(EU)加盟に対する国民の支持を増加させたことを指摘し、アイスランドでは8月29日にEU加盟交渉の再開の是非を問う国民投票が行われることを報じている。要旨は次の通り。

(alexis84/AlxeyPnferov/gettyimages)

 欧州の北部周辺部はEUと複雑な関係を有している。EUを離脱したのは英国とグリーンランドだけである。アイスランドとノルウェーは加盟したことがない。しかし、それは変わるかもしれない。

 アイスランド政府は8月29日に加盟交渉を再開することについて国民投票を行うことを計画している。ノルウェーの野党も加盟の是非について投票を望んでいる。

 態度は特に2020年のロシアのウクライナ侵攻以来変化した。アイスランド国民の多数が加盟交渉の再開を望んでいる。EU加盟を支持する者が反対する者を上回っている。

 ノルウェーでは有権者の過半数が依然として懐疑的である。しかし、加盟支持は30%を超えている――2010年代には通常20%未満だった。

 アイスランドでは、加盟を支持する昔の議論が蒸し返されている。ユーロに加盟できて小さく不安定なクローナを捨てることができる。EUの運営に発言権を持てる。

 アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインは欧州経済領域(EEA)に加盟しており、単一市場へのアクセスと引き換えにEUのルールを広範に採用している。これではルールはブリュッセルで起草されるので不意打ちを食らうことになりかねない。EEAはEUとの障害のない貿易を保証するものでもない。

 北極圏におけるロシアと中国の野心をアイスランド国民は心配している。40万に満たない人口であり、アイスランドは特に脆弱である。軍備を持たない唯一のNATO加盟国である。米国によるNATO加盟国の無視(および北極圏の領土に対する大統領の下心)は助けにならない。

 「グリーンランド問題はデンマークにとってEU加盟国であることが如何に価値あるか」を示したとアイスランド外相グンナルスドッティルは言う。EUの一部であることはトランプがデンマークやその同盟国に行ったような経済的な脅迫をもって威圧することをより困難にする。

 EUは加盟交渉を再開することに前向きである。09年に加盟申請を行った際、アイスランドは迅速に前進した。12年までに35章のうち11章の交渉を終えた。しかし、アイスランドは厳しい交渉をするであろう。


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