20世紀の「タラ戦争」の期間を通じて、アイスランドの沿岸警備隊は英国のトロール船の網を切断し、その海域から英国を排除した。アイスランドはその漁業を支配し続けたいと思っている。従って、EUの妥協を必要とするであろう。
欧州懐疑主義はなお強い。アイスランドは独立を大事にしている。野党の独立党を率いるグズルーン・ハフステインスドッティルは加盟交渉を「無意味」と言っている。EUはいずれアイスランドにそのすべてのルールを採用させるだろうと彼女は考えている。
94年の国民投票で加盟を僅差で拒否したノルウェー国民と違って、アイスランド国民は国民投票で加盟の是非を問われたことがない。それ故に、13年、当時の右派の政権(独立党と進歩党の連立)が加盟交渉を中断することが可能となった。
親EUの国民は国民投票が議員達にメッセージを送ることを希望している。彼等が成功すれば、ノルウェー国民はアイスランドがEUとどのような合意を達成するかを綿密に見守るであろう。「国民に権限を、国民に決めさせよ」と外相グンナルスドッティルは言っている。
* * *
引き金はグリーンランド問題
欧州の北部周辺部における地政学的な不確実性と米国の非友好的な行動がアイスランドとノルウェーにおいてEU加盟に対する国民の支持を顕著に増加させたようである。
引き金はグリーンランド問題だった。トランプが必要とあれば軍事力を使ってでもグリーンランドを領有したいと露骨に要求し、この要求に抵抗する北欧4カ国を含む欧州8カ国に10%の追加関税を課すと威圧したことは、NATOを通じて米国と同盟関係にあることは何の保証にもならないことを思い知らせることとなった。
アイスランドでは、3月6日、社会民主同盟が率いる政権(首相はクリストルン・フロスタドッティル、37歳の女性)はEU加盟交渉を再開することの是非を問う国民投票を8月29日に行うことを決定した。加盟交渉再開が支持され、加盟交渉が合意に達するならば、加盟の是非を問う再度の国民投票が行われることになる。
最近の世論調査によれば、加盟交渉再開に賛成:57%、反対:30%で賛成が上回っている。しかし、反対も依然強い。野党第一党の独立党が反対であることは上記の記事に言及がある。
アイスランドは08年に深刻な財政危機に陥り、翌09年からEU加盟交渉を始めたが、13年に進歩党と独立党の連立政権が成立すると、加盟交渉を直ちに離脱した経緯がある。
