2026年4月23日(木)

食の「危険」情報の真実

2026年4月23日

 「食品照射」という技術をご存じだろうか。放射線を食品に照射し、温度を上げずに殺菌や殺虫、芽止めができる技術だ。世界保健機関(WHO)もその安全性を認め、海外ではカビ毒や微生物汚染を防ぐ標準技術として広く普及している。

(william87/gettyimages)

 しかし、日本ではジャガイモの芽止め目的以外への使用が禁じられ、水際では多額の税金を投じて輸入食品の「照射の有無」を監視し続けている。イラン情勢の緊迫化に伴う原油高で物流コストや食品価格が上昇する中、本来は食の安全に寄与するはずの技術を「違反」として退け、排除するための検査に血税を注いでいるわけだ。

 この不毛な構造をいつまで続けるつもりなのか。

照射で殺虫・殺菌・芽止め

 日本は1972年、世界に先駆けて芽止め目的でのジャガイモへの照射を認可した。以来、北海道の士幌農協が「芽止めジャガイモ」を出荷してきたが、設備の老朽化や採算性の悪化を理由に2022年で出荷を終了。現在、国内市場で照射食品は流通していない。

 対照的に、世界では食品照射の活用が加速している。食品照射に詳しい元量子科学技術研究開発機構(QST)高崎量子応用研究所の小林泰彦さんによると、アジア・太平洋地域の23年の処理量は約124万トンに達し、そのうち中国が約100万トンと圧倒的だ。次いで多いのがベトナム、インドと続く。

 食品照射は冷蔵・冷凍のまま新鮮な状態で処理でき、色や香りが高品質に保たれることから、海外ではスパイスや乾燥野菜の殺菌・殺虫、さらには病害虫の侵入を防ぐ検疫処理として不可欠な技術となっている。


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