2026年4月23日(木)

食の「危険」情報の真実

2026年4月23日

農産物輸出の障壁にも

 米国では93年に発生した食中毒事件が契機となり、2000年から牛肉への照射を可能としている。カナダでも牛ひき肉の大腸菌汚染をきっかけに17年に規制を改正し、冷凍・冷蔵牛ひき肉への照射をできるようにした。

 日本では、2000年に全日本スパイス協会が香辛料の微生物汚染の低減化を目的とする放射線照射の許可を厚生省(当時)に要請した。また、11年に焼き肉店で起きた食中毒事件をきっかけに、放射線照射による肉やレバーの殺菌法が注目を集めた。しかし、食品衛生法改正のための具体的な検討はなく、許可されないまま現在に至っている。

 ただ、日本が照射を禁じていることは、国内の農産物を輸出する際の障壁になっている可能性もある。日本の優れた農産物を海外へ輸出する際、殺虫・殺菌のための照射が認められれば、輸出拡大の強力な武器になるはずだ。

食品衛生法の見直し議論を

 食品照射を学習テーマに掲げ勉強会などを実施してきた消費者団体「食のコミュニケーション円卓会議」代表の市川まりこさんは「食品照射は宇宙食にも利用されるなど、安全性は国際的に確認されている技術だが、日本では知らない人も少なくない。放射線ということで抵抗感を抱く人がいるかもしれないが、海外では照射食品にマークを付け、消費者が選んで買えるようにしている。日本でも照射され品質の保たれた食品を選びたいという消費者が選択できるよう、照射を原則禁止している食品衛生法を見直すべきではないか」と指摘する。

 厚生労働省は「国民の理解が得られない」とし、半世紀以上にわたり、ジャガイモの芽止め以外の用途に食品照射を導入する議論すらしてこなかった。しかし、その棚上げのツケを払わされるのは消費者だ。

 不透明な中東情勢もあり、食品の値上げは当分続くとみられる。安全とは関係のない水際検査に多額の税金を投入するのはそろそろやめてもらいたいものだ。

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