米国・イスラエルによる対イラン戦争は「一時停戦」で合意したものの、なお最終出口は見えず、開始から5週間を過ぎた今も混迷が続いている。その背景に、トランプ大統領による重大な判断ミスとインテリジェンス軽視がある。
体制転換は起こらず
トランプ大統領は作戦開始以来、数々の誤算と判断ミスを重ねてきた。まず挙げられるのが、イラン国民決起呼びかけの不発だ。
トランプ大統領はイラン攻撃開始の去る2月28日、8分間のビデオメッセージを自身のSNSで流し、イラン国民に次のように切々と訴えた:
「偉大なるイラン国民に今夜、伝えたい。これからしばらく爆撃が続き危険なので、外出を控えてほしい。我々の作戦が終了したら、今の体制から政府を取り返し、あなたたちの新たな政治体制を築いてほしい。あなたたちにとって今が今後何世代にもわたる唯一のチャンスだ。あなたたちは過去何年にもわたり、米国の助けを求めてきたが、得られなかった。しかし今、助けてくれる大統領がここにいる。米国は圧倒的力と壊滅的軍事力を持って支援する。今こそ、あなたたちが自らの運命を支配し、行動を起こす時だ。この機会を逸してはならない」
大統領はその翌日にも、「私が求めるのは、イラン国民の自由だ。愛国的イラン国民は今こそ立ち上がってほしい」などとテレビインタビューを通じ繰り返し呼びかけた。
トランプ氏は、今年1月以来、イラン国内各地で、物価高騰などに端を発した数万人規模の反体制デモが続いてきたことを念頭に、米軍攻撃で不満分子の一斉蜂起を期待したことは明白だった。
ところが、2月から3月にかけて最強の軍事精鋭部隊「革命防衛隊」による徹底した弾圧と大量検挙の結果、こうした民衆デモの動きは沈静化した。攻撃開始後、今日に至るまで、イラン国内での大規模な騒動は報告されていない。
結果的に、トランプ氏が反政府勢力の存在を過大評価し、「革命防衛隊」の治安体制を軽視していたことになる。
第二に、大統領は、作戦開始に当たり、その目的のひとつに「体制転換」を挙げ、当初から、楽観的期待を表明していた。しかし、その期待は裏切られた。
