2026年6月12日(金)

世界の記述

2026年6月12日

 アメリカ、カナダとの共催による2026年FIFAワールドカップが現地時間6月11日(日本時間12日)に開幕する。メキシコは1970年大会、86年大会に続き、史上初となる3度目のW杯開催国となる。

 世界最大のスポーツイベントを迎える国として、首都メキシコシティを中心に大会への期待感は確実に高まっている。一方で、その熱狂の裏側では、物価上昇や格差拡大、治安への不安、公共サービスを巡る不満など、現代メキシコが抱える課題も浮き彫りになっている。

FIFAワールドカップの開催国メキシコでは、メキシコ全国教育労働者調整委員会(CNTE)が「解決策がなければボールは転がらない」というスローガンを掲げ、賃金と年金の改善を求めてデモが行われている(ロイター/アフロ)

「W杯よりも生活を守れ」

 今回、メキシコはメキシコシティ、グアダラハラ、モンテレイの3都市で試合を開催する。特に開幕戦が行われるメキシコシティは、人口約900万人、都市圏人口は2000万人を超える中南米最大級の巨大都市だ。アステカ・スタジアム(大会での公式名称はエスタディオ・シウダ・デ・メヒコ)は、70年大会でペレ率いるブラジル代表が優勝し、86年大会ではディエゴ・マラドーナが「神の手」と「5人抜き」の伝説を残したサッカー史の聖地でもある。今大会では史上初めて3度目のW杯開催を経験するスタジアムとして、新たな歴史の舞台となる。

 街中では既にW杯の装飾が目立ち始めている。空港には各国の国旗や歓迎バナーが掲げられ、市中心部では巨大なカウントダウンボードが設置された。

 歴史地区や観光名所ではサポーター向けのイベント準備も進み、飲食店やホテルでは各国からの来訪者を迎えるための準備に追われている。市内の商業施設では代表ユニフォームや大会関連グッズが並び、サッカー大国らしい熱気が徐々に高まっている。

町のショーケース。サッカー関連グッズが並ぶ(筆者撮影、以下同)

 しかし、その一方で大会直前のメキシコシティを象徴する風景となっているのが、公立学校教師による大規模な抗議活動だ。

 近年のメキシコではインフレによる生活費上昇が続いている。食品価格や住宅費、光熱費などが上昇する一方、公務員や教育関係者の賃金上昇は十分ではないとされる。全国教育労働者調整委員会(CNTE)を中心とする教師たちは、賃上げや年金制度改革の見直しを求めて大規模なデモを展開している。


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