歴代大統領の場合、重要な政策決定に当たり、関係閣僚のほかCIA長官など情報機関のトップが出席する国家安全保障会議(NSC)が招集されていたが、トランプ政権下ではNSC組織が縮小され、開催頻度も極度に少なくなっている。
的中していた米国インテリジェンスの判断
そうした結果として、実際にいくつもの誤算につながったことは、上記の具体例でも明らかだ。一方で皮肉にも、米国インテリジェンスは今回の作戦に関しこれまでのところ、的確な判断を示してきたことが明らかになっている。
「ニューヨーク・タイムズ紙」(3月7日付け)が報じたところによると、CIAなど米国の18の情報機関を統括する国家情報会議(NIC)は、イラン攻撃開始1週間前に情勢展望に関する以下のような内容から成る文書を作成していた;
① イランでは神権的統治体制が国民生活の中に深く浸透しており、米側がかりに反政府グループに働きかけても大規模な人民蜂起につながらない
② 米軍による大規模攻撃を開始してもイスラム共和国体制は根付いており崩壊しない
③ 米国の意にかなう有能な指導者が登場することはあり得ない
④ 仮に空爆で最高指導者ハメネイ師を殺害したとしても、すぐに後継者が擁立され、従来通りの指導体制が維持される
⑤ 国内武装グループのグルド族はイスラム共和国の強力な支柱となってきた「革命防衛隊」に対抗するほどの組織力と能力を保持していない
対イラン戦争は「2週間停戦」後もなお曲折が予想されるが、これまでの戦況を見る限り、米国インテリジェンスの指摘がきわめて正確だったことを裏付けている。
問題は、トランプ氏がこうした重要な自国のインテリジェンスについて、事前ブリーフィングを積極的に受けていたかどうかだ。
もし、受けた上で今回の作戦を強行したとすれば、独断専行の大統領の責任とツケはあまりにも大きいと言わざるを得ない。
