2026年4月26日(日)

オトナの教養 週末の一冊

2026年4月26日

 今月のテーマは中東です。イランをはじめ、多角的に知ることができる本を選びました。

水追い師

水脈を聴く男
ザフラーン・アルカースィミー(著)、
⼭本薫(訳)、
マイサラ・アフィーフィー(訳)
書肆侃侃房 2200円(税込)

水脈を聴く男 ザフラーン・アルカースィミー(著)、⼭本薫(訳)、マイサラ・アフィーフィー(訳)書肆侃侃房 2200円(税込)

 オマーン人作家による小説。はじまりは衝撃的だ。やっと子宝に恵まれた夫婦。しかし妊娠後、妻の頭痛がひどくなる。ただ、水の中に頭をつけると、その頭痛は治まる。とうとう妻は、井戸の中に落ちて死んでしまうが、引き上げられた遺体のお腹から子どもは救い出される。その男の子は、二人の女性の助けがあって成長し、地中に流れる水の音を聞き分けることができるようになる。その能力で干ばつから村を救い「水追い師」と呼ばれるようになるが……。

本当の「青」

世界の使い方
ニコラ・ブーヴィエ(著)、 山田浩之(訳) 英治出版 2860円(税込)

世界の使い方 ニコラ・ブーヴィエ(著)、 山田浩之(訳) 英治出版 2860円(税込)

 1953年ジュネーブからカイバル峠まで向かう旅行記。途中通るイランは、石油を国有化したモサッデグ首相が米中央情報局(CIA)の暗躍で失脚した直後。米国の援助組織が現地に入り、学校を建設しようとするがうまくいかない。著者は「彼らの幸福はそのまま輸出できない」と記す。クルド人との関係性など、今に続く問題が見られる。そして「青というものを本当に知りたければ、テヘランに来るしかない」という。今回の戦争でこの「青」が失われていないことを願いたい。


新着記事

»もっと見る